TAG&RELEASE | ||
タグ&リリースって何? |
タグ&リリースのタグとは、標識のこと。リリースは放す事。即ち、釣った魚に標識を付けて放す事をタグ&リリースと言います。
何故、そんな事をするかと言うと我々アングラーは、誰もがいい釣りをいつまでも続けたいと思っているのに違いありません。 ある人は大物を夢見て、ある人は釣った魚を美味しく食べたい…とか。 しかし、我々の遊び相手になってくれているゲームフィッシュの将来は決して明るいものではありません。 ゲームフィッシュを取り巻く環境の悪化も当然の事ながら、釣り放題に釣りを続けて来た為に、各地の海・川・湖でますます大物は釣れにくくなり、釣れる数も年々少なくなって来ています。 明らかに、オーバーフィッシング(釣り過ぎ)による結果と言えるでしょう。
そこで我々アングラーが、この先いつまでも良い釣りを続けていく為に、自ら行動を起こさなければなりません。 このまま放っておくと、ますますゲームフィッシュは少なくなってしまうに違いありません。 その為に、今何をしておかなくてはならないかと言うと、まずゲームフィッシュの自然界における生態を調査し、適切なレギュレーションの基に管理する事が大切です。 その為の調査手段が、このタブ&リリースです。
それでは、何故タグ&リリースによってゲームフィッシュの生態が解るかと言うと、釣り上げた魚に記号と番号の書いたタグを付けリリースします。その魚が何ヶ月か何年か経って捕獲されたとします。 するとタグの記号や番号からその魚がいつ?何処で?放流された魚か、どれくらいの移動をしたのか?どこを回遊して来たのか?どれくらい大きくなったのか?どれくらいの量が生育しているのか?等、貴重なデーターを我々に提供してくれる分けなのです。 そして、こうして得られたデーターを蓄積し、将来的にはそのデーターを基にゲームフィッシュの資源管理に役立てると言うプログラムなのです。
タグ&リリースを行うには…。 |
今の所、タグ&リリースプログラムはジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)のメンバーのみで行われています。タグ&リリースを行うにはまず、JGFAに入会し正しいタグ&リリースについての知識を学ばなくてはなりません。
何故なら、ただタグを打って放せばいいと言うものでは無く、タグ&リリースはリリースされた魚がその後、確実に生存していなければタグ&リリースの意味が無い訳で、その為にはタギングの仕方や記録の取り方について、普段から慣れておかなくてはなりません。 現在、JGFAで使われているタグには、カジキ類やマグロ類の大型魚に打つダートタグ(Lサイズ)と5〜10kgクラスのシイラ等の回遊魚に打つダートタグ(Sサイズ)それと5kg以下の比較的小型の魚に打つ、アンカー式スパゲティタグがあります。 打つ魚に合ったタグを選べば良いわけですが、出来る限り魚にダメージが無い様な位置に打つ事が大切です。 次に大切なのは、タグを打った際に正確な記録を取っておく事です。 放流時の記録が不正確だと再捕獲があっても正しいデーターが得られません。 したがって、ある程度の下準備も必要となります。
タグ&リリースのシステム |
JGFAに入会すると、タグ&リリースハンドブックが送られて来ます。ハンドブックには、タグ&リリースの意義や目的の他に、魚種別のタグの打ち方や記録の取り方等が詳しく記載せれています。 又、年に1回東京と大阪で開かれているタグ&リリースセミナーに参加するのも良いでしょう。 使用するタグはJGFAメンバーであれば、無料で配布されます。
まず、アングラーがタグを打ちます。その際に、年月日・タグNo・放流場所・魚種・又長を記録し、その放流記録をJGFA協会本部へ届けておきます。 そして、その魚が再び漁師さんや一般のアングラーによって捕獲され再捕者本人や、あるいは水産試験場を経てJGFA協会本部へ報告されます。 そこで初めて、その魚がタグ&リリースされてからどのくらい経って捕獲されたか、どれくらい大きくなったかが解る訳です。 得られた貴重はデーターは報告していただいた再捕者や関係機関にも送られます。 特に再捕連絡して下さった人とその魚をリリースした人には、
協会本部より記念品(オリジナル携帯ストラップ)が送られて来ます。
タグ&リリースプログラムは、アングラーと漁師さんをはじめ水産関係者との協同プログラムと言える訳です。 タグ&リリースに賛同して頂ける方は、是非ともジャパンゲームフィッシュ協会に入会して下さい。
タグ&リリースの成果 |
JGFAが、タグ&リリースを始めたのは1985年の事で、今までに知られていなかったゲームフィッシュの生態が次第に明らかになりつつあります。 今までにタギングされた魚は、人気の高さからスズキの放流数が最も多く、続いてシイラ、ブリ、ヒラスズキやマグロ類の幼魚等がJGFAメンバーによってタグ&リリースされて来ました。 再捕獲の数もスズキが多く、再捕獲率は東京湾で0.92%、大阪湾で0.82%と約120匹に1匹が再捕獲されています。
その結果、東京湾や大阪湾に多く生育するスズキはほぼ一生を湾の内で過ごす、いわゆる内湾性である事が解りました。
スズキの次に放流数の多いシイラは、再捕率が高いものの1年を過ぎてから捕獲された例は無くこの事から外洋性の回遊魚であり、短期間にかなりの距離を回遊移動していると考えられます。
その他にも、神奈川県の三浦半島沖でリリースされたマグロの幼魚が愛媛県の足摺岬沖で捕獲された例や、房総半島でリリースされたヒラスズキが真鶴で再捕された例などがあり、想像を絶するゲームフィッシュの行動が確認されました。
知的釣人ならばタグ&リリース? タギングするアングラーはハイレベルアングラー? 実践的タグ&リリースの仕方 |
T&Rは、実際に釣り上げた魚にタグ(標識)を打ちリリースすると言うものですが、ただキャッチ&リリースにタグを打つ行為が増えるだけでなく、魚へのダメージを最小限に押さえる為アングラー自身も努力しなくてはなりません。 と言うと、そんな難しい事か?そんなに面倒な事なのか?等と非難の声も聞こえて来そうですが、事実リリースされた魚が、その後確実に生存していなければリリースの意味がありません。かと言って、リリースした後の事は、再捕があるまで解りません。 要は、リリースするアングラーの思い入れに掛かっている訳で、少しでもダメージを少なくしようとするならば、例えばルアーのフックをバーブレスにするとか必要以上に魚体に触れない様にするとか、あるいはラバー製のランディングネットを使用する等様々な方法があります。 その方法には、それぞれ魚種別に個人差もありますが、大切な事は、タギングする前にある程度の下準備と心づもりをしておく事です。 釣ったついでにタグを打ってみようか、とかでは、上質のタグ&リリースは望めないでしょう。
しかし、現在タグ&リリースを実践しているアングラーは、自分自身で生存率を高めるリリース方を探求しています。タグ&リリースを実践すると言う事は、ある意味で自身の釣りのレベルを上げる事にも繋がる訳です。 キープするよりも、ダメージ無くリリースする事の方が難しいのは当たり前の事で、JGFAでもタグ&リリースに参加しているメンバーの中で1年間にタギングした魚の中で再捕獲のあった魚をリリースした人に、タグ&リリース年間功労者賞を送っています。 当然、タギングした数、魚種や地域性等も考慮した上で…。
タグ&リリース年間功労者に送られる記念の盾(旧型) |
現行版 |