何故シーバスフィッシングなのか?

大阪湾のボートフィッシング 若狭湾のボートフィッシング ボートからのフライフィッシング

シーバス(スズキ)が特別大型になる魚でもないし、青物の様なスピードのある引きでもないし、シーバスを特別視している訳でもない。ならば何故、今でもシーバスフィッシングをしているのか?過去にはシーバスより遥かに大型のトレバリーやカジキ等も釣った事があるのに・・・・・と思うのは全くの間違いで、魚が大きければとかよく引く魚が釣って面白いかと言うと必ずしもそうではありません。「ルアーフィッシングの基本」と言うのがあるとすれば1つは「バスフィッシング」でしょう。ブラックバスは今の日本では、害魚扱いされていますが、ブラックバス程、釣りの対象として面白い魚はないでしょう。再放流が容易な為、トーナメントの対象魚としては、うってつけの魚で、アメリカにはこのバス釣りのプロがいて、実際にトーナメント賞金で生計を立てている人もいるくらいです。しかし、ブラックバスの場合(食い付く)という現象がおこるまでに様々な要因があります。釣りの基本は魚が(エサ)(ルアー)(毛バリ)を口でくわえた時に針が口に掛かり、初めて「釣り」という遊びが始まりますが、ブラックバスの場合、食い付くと言う現象がおこるのに様々な要員があります。この事は、バス用のルアーを見れば一目で解ります。ナイトフィッシングや濁った水の中で威力を発揮する(スピナーベイト)は、どう見ても水の中にいる生物には見えません。ランカールアーとして最盛期の琵琶湖で定番となったディープダイビングのクランクベイト等は、どう見ても琵琶湖に住む生き物(エサ)には見えません。では、何故この様なルアーがブラックバスには絶大な効果を示すかと言うと、ブラックバスの場合、エサを摂取しようとする食欲の他に、攻撃する闘争心と好奇心が強く、結果、エサには似ても似つかぬルアーに食い付くわけなのです。又、それがアングラーにとっては、大変面白く、その為に様々なバリエーションのルアーがあるわけですが、一方、シーバス(スズキ)となるとブラックバス程、ルアーのバリエーションは多くありません。という事はスズキの場合、ほとんどが食欲で食い付いているという事が言えます。確かに多少の闘争心や好奇心、あるいは、反射的反応(リアクションバイト)等もあるかも知れませんが、90パーセント以上は、食欲によると言えるでしょう。けれどもいざ釣るとなると、このシーバス程自然条件に左右される魚はないと思います。よく魚釣りは、どんな釣りでも条件次第と言われています。時期は?場所は?時間帯は?天候は?潮は?ベイトフィッシュの有無は?と言う具合にあらゆる条件がそろわないといい釣果には恵まれませんが、これらの条件を事前に読み、ゲームを組み立てるのが(シーバスゲーム)と言えます。これは、他の魚や、他の釣方にも言えますが、シーバス程このゲームの組み立てと答えが明確な釣方は他にありません。そういった意味で、シーバスフィッシングは、海のルアーの基本と言えると思います。

89センチのヒラスズキ(熊野川河口) フライにもちゃんと反応してくれます 小浜湾のスズキ88センチ

次にタックル面においても同じ事が言えます。一言にシーバスフィッシングと言ってもベイエリアにある防波堤や岸壁から狙うシーバスからシステム化されたボートシーバス、砂浜からキャストするサーフシーバス、荒磯のサラシを狙う磯のヒラスズキ等、様々な釣り方があるのもこの(シーバスフィッシング)なのです。当然、特殊なラインとフライ(毛バリ)を使って釣るフライフィッシングでもシーバスはちゃんと反応してくれます。これ程、釣り方にバリエーションがあるのも海のルアーフィッシングでは、シーバスだけだと思います。それだけに、タックルも様々で、ボートからスリットの間を狙い打ちにする5フィートくらいのロッドから、外海に面した磯から狙うヒラスズキ用の18フィートくらいまで、又、5センチにも満たない小型のミノーから18センチ40グラムもある大型ミノーまで、又、バチヌケパターンや仔イカに似せたソフトルアー、スピンテイルジグやバーチカルジグまで海のルアーのほとんどを使う事があります。それと一番釣りの基本となる魚の口に釣針が掛かると言う事でも、シーバスのルアーフィッシング程、フックに関してナーバスにならざるをえない釣り方も少ないと思います。シーバスの口をよく観察すると解りますが、骨質で出来た硬い部分と膜状の軟らかい部分が極端で、その結果、フックと釣り方を工夫しないと、針掛かりしにくかったり、又、バラシを招く原因となります。この事は口の中に針が入ってから合わせる(エサ釣り)とは、コンセプトが全く異なります。シーバスフィッシングに使うルアーの針は、正確に言うと、まず狙うシーバスの大きさから狙い方、狙う場所によって形状や大きさが異なってきます。それと、どの様な大きさのフックだとどの様なテンションで合すとか、あるいは、どの様な形状のフックだと針掛かりしてからバラさないとかと言う事も明確に知る事が出来るのもシーバスフィッシングと言えます。これらは、大型のトレバリーフィッシングやバーチカルジギング、さらにマーリンキャスティングの基本となる訳で、たとえば木の硬さくらいある口にフックを掛けるマーリン(カジキ)のキャスティングゲームにおいても、まずどれくらいのフッキングテンションでもって、フックアップするか、カジキのジャンプやテイルウォークにどの様に対応するか等の基本的考えもこのシーバスフィッシングにはあると言えます。ヒラスズキフリーカーなら解ると思いますが、たとえば、ヒラスズキをフックアップしてから、力任せにリールを巻いたとすると、かなりの確立でバレてしまいます。又、シーバス程同じスズキでもタイプの異なる魚も他にはありません。タイプと言うのは生態系や習性、地域個体差、環境適応性の事で、この事は私が著筆した葛u洋社出版のシーバステクニカルノートTAKE−2の内容の通りで、ベイエリアを中心に一生を過ごす固体や、河川を溯る固体、あるいは、水深60メートル以下の海底に生息する個体等、同じスズキ、ヒラスズキにも様々な生態系をもつのもこのシーバス(スズキ)でしょう。その為に、狙い方もタイプの数だけ有り、海のルアーの対象魚の中でもだんとつに多く、そういった意味であらゆる海のルアーフィッシングの基本は、このシーバスフィッシングにあると言えるでしょう。





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