釣りの記録って?

ひと言に釣りと言っても様々なジャンルがある。わずか2センチにも満たない淡水魚(タナゴ)を専門に狙って釣る伝統の(タナゴ釣り)から体長5メートル1000ポンドを超える(ブラックマーリンフィッシング)まで釣りの対象魚の数だけ釣り方(ジャンル)があるわけで、それ以外にも特殊なラインと毛針を使って釣る(フライフィッシング)やリールを使わずノベ竿で釣るヘラブナ釣り等というジャンルもある。そしてこれらのジャンルの中には必ず記録Recordというものがある。しかし、この釣りと言う遊びの世界において記録とはどの様なものなのか?公式スポーツには必ず記録認定の委員会があり、公認の世界記録や日本記録あるいは大会記録等も認定しているが、(釣り)ほど評価しにくく認定基準のあいまいなスポーツ?は他に例がない。よく釣り人同士の会話の中で自己最高記録を釣ったとか記録物の魚をバラしたとかと言う言葉を耳にするが、こう言う場合の記録とはあくまで自分自身の個人的評価であって、その魚を他人が見た場合、同じ評価であるとは限らない。それに、魚の大きさを評価した記録や釣り上げた魚の数を評価した記録、あるいはその魚の珍しさや希少さを評価した様な記録もある。魚の大きさを記録認定している機関や団体はいくつかあるが、某出版社では、(ギネスブック)をパロって(ギョネスブック)なるもので、釣り上げられた魚の魚拓の全長で記録を認定管理している。又、投げ釣りの広域団体、全日本サーフでも同じように投げ釣りで釣られた魚種に限定して記録の認定管理を行っている。この様に幾つかの団体が独自の認定の仕方で釣れた魚の記録を認定管理しているが、いづれもオリンピック公認記録の様に比較評価するのはかなり難しい。と言うのもその魚の大きさがそれを釣った人の努力による結果なのか、なにげなく偶然に釣れた物なのか、いずれにせよ記録は記録である。それでは釣ったにせよ偶然釣れたにせよ、この様な釣魚をオリンピック委員会の様に正式に評価し、管理している団体が他にあるのだろうか?

6lbティペットでの世界記録 IGFAから送られてくる世界記録の認定書 オールタックル世界記録のビワコオオナマズ

今のところ私の知っている範囲ではアメリカ合衆国のフロリダ州に本部のあるIGFA(インターナショナルゲームフィッシュアソシエイション)という団体がある。IGFAの主な活動は、ゲームフィッシュ、すなわち水産資源としての魚ではなく、釣りの対象魚を調査研究し、ある一定のルール(IGFAルール)によって1匹の魚とフェアーにファイトし、釣り上げられた魚のみ世界記録として認定管理している。基本的理念は、1匹の魚とフェアーに渡り合うと言う事で釣り人に有利になる様な釣り方は認められていない。このIGFAルールと言うのは、解り易く言えば、記録認定の為にインターナショナルゲームフィッシュ協会が独自に定めたところの世界共通のスポーツフィッシングルールで、世界記録の認定の他に、世界各国で開かれるスポーツフィッシング大会にも、このIGFAルールが採用されている。それでは、IGFAがどのように釣魚の記録を認定しているかと言うとこれが非常にややこしくも的を射た申請基準となっている。単に魚拓や魚とメジャーが同時に写っている写真を提出すれば済むものではない。写真を提出するのは同じであるが、釣魚をラインの強度別に評価している為、実際に使用したラインも提出しなければならない。それと、専用の記録申請用紙と言う物があり、この申請用紙を見ると、どれ程記録を認めてもらう事が大変な事か解る。まず、釣った魚の重さで評価する為(この時点で日本とは考え方が違っている)魚を計っている計りと一緒に写した写真がいるのと、その計りが正確に作動しているのかどうかの証明と公証人まで立てなければならない。それに、タックルについても事細かく記入する欄があり、1つでも抜けていると記録としては認められない。最後には、この申請書に偽りがないのかのサインまでさせられて、初めて申請書を提出し、後はIGFAの本部で提出されたラインのブレークテストを行い。そのラインが申請した強度内で切れると晴れて、世界記録となるわけである。

オールタックル日本記録ののカスミアジ
沖縄県宮古島にて
日本記録魚リリースの認定書。 8lbラインでのサワラの日本記録
兵庫県須磨沖

これ程、事細かく決められたルールとタックルで釣った魚であるだけに信憑性に関しては認めざるをえないのと、狙った上で釣るべくして釣ったという事も、ある程度は言えるだろう。しかし、ここまでしても釣りの記録とは自己満足と言える。なぜならば、釣りと言うスポーツ?は、自然の生物を相手にする個人プレーの要素が大きく、どこまで行ってもその記録は自分自身の満足感で釣った自分が一番感動し、自己評価している事に違いないだろう。それでも自分は他の人に又、自分自身に誇れる記録を作りたいと言うのであれば(JGFA)ジャパンゲームフィッシュ協会への入会をお薦めします。JGFAは非営利団体で、IGFAの日本での窓口的役目をしているのと同時に、IGFAルールでの日本記録の認定と、世界記録の申請援助も行っている。我々のクラブ(SPLASH)もメンバー全員がJGFAメンバーで、中には世界記録保持者や日本記録保持者もいますが、なにもIGFAJGFAが認めた記録だけが本当の記録とは言えません。しかし、狙って釣った記録ほど自分にとっても満足度が高く、価値観も又、他人からの評価も高い?記録はないと思います。要は釣りの記録とは自分に対しての記録であって、それを評価するかどうかは他人に任せざるを得ないのが釣りの記録だと思います。

JGFAが認めた5LB以上のバスを釣った人に送られる認定書(5LBバスクラブ)

JGFAが認めた10LB以上のシーバスを釣った人に送られる認定書(10LBシーバスクラブ)




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