釣った魚?釣れた魚?釣らせてもらった魚?

クラブ会報誌スプラッシュワールドNO32から・・・

6月のある日、仕事を終えて一段落した頃に携帯電話が・・・・
相手は某有名なクラブのN氏。「梅田で連れと飲んでるねんけど」。N氏とはクラブを始めた頃からの釣仲間で、ヒラスズキの鬼とまで言われた人物です。N氏の話では「昔の話で盛り上がってて松浦君の話が出たんで電話した」との事。私も「久しぶりやなぁ」と、しばらく昔話で盛り上がったのですがそのうち「今から会えへんか」と言う事で私もOK。20分もしないうちにタクシーでやって来たのです。N氏だけかと思ったらY氏もそれに若手のK氏も加わって釣りの哲学?について語り始めたのです。少しお酒が入っているせいか話はかなり飛躍していました。話の中で、K氏がつい最近トカラで52キロのイソマグロをジギングで仕留めたとの事。最初は「デカイな」とか「よく釣ったなぁ」と言う具合にみんなでほめたたえていました。K氏も自慢げにその時の話を何度も繰り返し話すのです。その時、N氏から「確かに大きいけど所詮は釣らせてもらった魚やで」と・・・・・それを聞いたK氏はN氏にオレはこうやって食わせて、こうファイトしたと講釈を始めたのでした。それでもN氏は「船長がいい場所に釣れていってくれたから釣れたわけで、それに狙っていたのは大型のカンパチやんけっ」という具合にK氏の話をとことんけなすのです。こうなると2人は喧嘩ごしの言い合いになったのです。お酒が入っているのとY氏も話をまくし立てるものですから増々話が過激になり、ついに午前2時を回っても決着がつかず最後に「松浦君はどう思う?」と私の方に話を振られてしまったのです。私としてはショアーにこだわるN氏の話も少ない時間と費用を溜め込んで大きい魚を釣ろうとするK氏の気持ちも大変よく解ります。確かに釣りの評価は難しく、甲、乙つけがたい部分が多々あります。ただ言える事は、最初から誰の情報もアドバイスもなく1人で釣行し、釣ったのであればそれは(釣った魚)と言い切れます。しかし、連れて行ってもらって釣ったとしても話の仕方は(私が釣った魚)と言うでしょう。けれどもこの場合、正確な表現は釣らせてもらったと言う方が正しいと思います。それに私の持っている日本記録のカスミアジとサワラの様に狙っていた魚以外の魚が釣れてしまう場合もあります。これも正確な表現で言うと、釣ったのではなく(釣れた魚)、もしくは(釣れてしまった魚)言う方が正しい言い方でしょう。要は釣ったと釣らせてもらったのとパーセンテージの問題で、船からの場合、船長の腕次第と言っても過言ではありません。あのワールドレコードホルダーのE .M氏でさえビデオの中でフライでセイルフィッシュを釣る場合、釣人のしめる割合は30パーセントか多くても40パーセントと言っています。フライフィシングの様な、コンセプトの多い釣り方でさえも釣り人の占める割合は、4割にしか過ぎないと言う事です。結論を言うと釣っても釣らせてもらっても本人が面白ければそれでいいのでは?・・・・・

PSこの話はある人からリクエストがあり、後に詳しくホームページにUPします。

6lbティペットでのシーバスのワールドレコード 取材中に釣れてしまった日本記録のサワラ

・・・・とここまでがSPLASHの会報(SPLASH WORLDNO33)の中で書いた私の記事ですが、文中の<ある人>から「この話は一度、誌面で取り上げてもおもしろいで!」と言われました。「面白いで!」と言われても困るのですが<ある人>と言うのは某釣具メーカーの社長さんで何年か前の忘年会の席で「釣りの評価」について話が盛り上り、結局最後まで決着がつかず最終的には「本人が面白ければそれでいい」という事になったのですがこの話だけは、おそらくどこまで行っても平行線と思われます。たしかに釣人には、理念や概念、それにプライドがある為かともすれば話の中でプライドを傷つけられたりと言う事もあると思います。それに基本的には、個人プレーの要素が大きいと言う事です。磯からヒラスズキを専門に狙うヒラスズキフリーカーは、よくヒラスズキ釣りは、釣るまでのプロセスが面白く、地形や条件を把握し、自らランディングするまでがゲームで人に情報を聞いたり、ランディングを手伝ってもらったのでは面白くない・・・とまで言い切っています。こういう連中は、船からの釣などいくら釣っても所詮は船長の評価だと言っています。しかし、私はこれに関しては必ずしもそうとは、思いません。同じ様に船に乗っていても(よく釣る人)と(釣れない人)がいるのも事実です。よく釣る人は、なんらかの工夫や努力をしているわけでそれが釣果の差になっているわけです。しかし、逆を言うと、いくら釣りの経験が豊富な人でいくら釣る為の努力をしている人でも船長の腕次第で、全く釣れないのも事実です。となるとやはり船からの釣りの場合の船長の占める割合は、大きいと言えます。
ロケ中に釣れてしまったカスミアジの日本記録 日本記録の認定書


考えてみれば私の持っている世界記録や日本記録もはっきり(釣った魚)と言い切れるかどうか自信はありません。
たとえば20ポンドラインクラスのカスミアジの日本記録は、週刊釣りサンデーのビデオのロケで沖縄県の宮古島に行った時にロウニンアジ狙いで投げたポッパーにたまたまヒットしたわけでこの時のボートは、宮古島の名ガイド(トラ坊)こと奥平さんで、タックルも20ポンド(約10キロ強度)とドラグ調整さえしていれば誰でも釣れるくらいのサイズです。又、8ポンドラインでのサワラの日本記録も月刊アングリングの取材の最中に釣った記録でこの日はサバの大群に遭遇し、8ポンドのライトタックルに替えたとたんに釣れてしまったのです。それでも記録申請をすれば日本記録となるわけですがこの2件に関しては、他人に「釣った」とはとても言えません。けれどもフライで釣ったブラックバスの記録とビワコオオナマズの記録は最初から最後まで自分1人で釣った為、自信を持って「釣った」と言えます(あくまで自己評価ですが)。しかし、中には、すごいアングラーもいるものです。私の所属するJGFAの個人会員でフライフィッシングのそれも2ポンドティペットをメインに数々の記録を釣っている神戸のM.O氏と言う人がいます。氏は、2ポンド(1キロ強度)しかないチィペットでその強度の何倍もの魚をしかも狙って釣っているわけである意味マグレのない世界です。真に私の知っている限りでは、スーパーアングラーと言えるでしょう。そこで私の見解を偏見を交えて言うと、要は釣ったにしろ釣れたにしろ、釣らせてもらったにしろ所詮は遊びの世界の事なので本人が面白いと思っていることを他人がつやこや言う事はないと思います。感性は人それぞれ違うのも当然で女の趣味や車の趣味が違っていてあたりまえです。どこかの釣りクラブの会長の様にアフリカの女のケツがいい人もいればSPLASHのI氏の様に足さえ細ければ顔はなんでもいいと言う人もいます。又、釣りの経験の豊富な人ほど釣ったか、釣れたか釣らせてもらったかと言う事も解っていると思います。

条件を読み、タックルをセレクトし自ら釣ったと
言えるビワコオオナマズのオールタックル世界記録
IGFAが認めた世界記録の認定書




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