ヒラスズキ

ヒラスズキってどんな魚?  

ヒラスズキは学名Lateolabrax latusと言います。特徴は、DXll〜XlV、14〜16;Alll、8〜11;P15〜17でスズキ(Lateolabrax japonicus)に似ているが、スズキに比べて体高が高く尾柄高も高い。背鰭の軟条線も15〜16本と多く、又体色は銀白色に近い。よくスズキとヒラスズキの違いは下顎にある鱗列と言われているが、スズキやタイリクスズキにもこの様な鱗列のある個体が見つかっている為、分別するポイントとは言えない。しかし、ヒラスズキに関しては、下顎に鱗列のない個体は見つかっていない。産卵期も、水産試験場の稚魚・仔魚調査でスズキよりも少し遅れている事が明らかになったが、産卵場所などは明らかで無い。分布地域としては、日本海側だと能登半島以西、太平洋側だと房総半島以西で屋久島迄と言われているが、最近の調査で朝鮮半島南部と斉州島にも生息している事が判った。暖流の影響を受ける場所を好むせいか、東京湾や大阪湾それに瀬戸内には極めて少ない。ヒラスズキにも幾つかのタイプがあり、河口に入るタイプと磯につくタイプ、それに明らかではないが沖合の深場につくタイプがある様だ。ゲーム性のある釣り方と言うと、やはり磯のヒラスズキと言う事になるが、河口のヒラスズキと磯のヒラスズキとの行き来があるかどうかは、今の所解明されていない。タグによる調査が待たれます。
食性に関しても、スズキと同じで動物性の物であれば魚類や甲殻類等を好み、80cmクラスのヒラスズキの胃からは、30cmもあるトビウオやダツが出てくる事もある。この事から見ても食性はかなり荒く、神経質な反面、大胆な一面を持つ魚と言えます。しかし、時期によってかなり食性が変わるみたいで、春先はカニの幼生を大量に捕食していたり、夏には小型のイカを大量に捕食していたりします。この事から言うと、ヒラスズキも1級のフィッシュイーターとは言えません。又、大雨の後、河□で釣れる事から、濁りが入ると活発にエサを獲るものと思われます。
もう一つ、磯端につくヒラスズキは、波が立って磯周りにサラシが出来るとサラシの中をフィーディングゾーンとし、沖合の深場から上がってくると思われます。これは、波の無い日に30m程の海底に群れるヒラスズキの大群をダイバーが目撃している事でも推測が出来ます。もう一つのタイプ?は水深50m以深の深場にいて、浅場へ上がって来ないタイプで、これは南紀地方でイセエビ網に掛かってくる体色の黒い大型のヒラスズキで、過去に確認されているものは、和歌山県潮岬沖で捕れた110cm、13Kgと言うのがありました。

いつ何処で釣れるの?

ヒラスズキは暖流の影響を受ける沿岸に多く生息していますが、沖縄県にはいません。 又、屋久島ぐらいが狙って釣る事の出来る南限とも言われています。北限はと言うと、日本海側では熊登半島、太平洋側では房総半島位迄でしょう。日本国内で最もヒラスズキが濃いのは房総半島・伊豆半島・紀伊半島・四国太平洋側・長崎県五島列島・宮崎県・鹿児島県沿岸に多く生息しています。特に、紀伊半島南部・室戸岬・足摺岬は大型ヒラスズキの実績があります。 やはり、黒潮の当る複雑な地形がヒラスズキに適していると言う事でしょう。河口に来るヒラスズキも同じで、暖流の影響を受ける沿岸に流れ込む河川に多く生息しています。ヒラスズキには、大きく分けて2つのタイプがあり、1つは磯端に住むサラシを餌の摂取場所とするタイプと、もう1つは河口に来るタイプで雨後の濁りの入った時に、活発に餌を取るタイプがいます。磯端に住むヒラスズキは、春先から5月中旬迄と10月上旬から翌1月位迄の荒れ気味でサラシの出きる時が狙い目です。真夏は水温が上がり、波の立つ日が少なくなるのと食性が変わる為か、ルアーへの反応は鈍くなる様です。けれども、梅雨時期で大雨の後の増水した時などは上流から流されてくる小魚を捕食する為、一時的に活性が上がりルアーへの反応も良くなります。
ヒラスズキの場合、マルスズキ(スズキ)程上流域へ遡る事はありませんが、真水(淡水)でも生活出来る様です。和歌山県の新宮川や日高川、宮崎県の耳川等では全くの淡水域で釣れた例が幾つもあります。

ヒラスズキを狙うタックルは?


磯からヒラスズキを狙う場合のロッドは、ある程度の長さが必要です。沖目にあるシモリに向けてキャストしたり、掛けたヒラスズキを根をかわしながら足元迄寄せるにはロッドのリーチを生かしたロッドワークが必要となります。現在、市販されているシーバスロッドの多くは13フィート位迄が多く、磯から専門に狙うには13フィートでは少し短いかもしれません。しかし、ロッドが長ければその分だけ重さが増し、又、持ち運びの面では不便という事になります。シーバスロッドとして売られているロッドは、主にキャスティング性能を重視した高弾性のものが多く、ウェイトのあるルアーをキャストするには大変優れてはいますが、ヒラスズキを釣る場合ロツドの硬さは身切れの原因になります。しかし、今の所、磯のヒラスズキ専用ロッドと言うのは、売られていません。1部のマニアックなヒラスズキフリーカーは、上物用の振り出し竿を改造したり、ヒラマサ竿を代用したりしています。理想のヒラスズキロッドは、ある程度の軟らかさと張りがあり、尚且つ振り続けても疲れないと言う事です。リールは、ドラグ性能の優れた中型クラスのリールが理想ですが、大切な事はロッドとのバランスが取れていると言う事です。バランスが悪いと、極端に重く感じたり疲れたりします。磯でヒラスズキを狙う場合、特にリールのドラグは大切で強い引きに対してドラグが滑らかに滑りスムーズにラインをリリース出来る事です。瞬間的に強いテンションが掛かると、身切れによるバラシの原因となります。ラインは、基本的にはナイロンラインが使い易く、最近では特殊コーティングによって根づれに強いラインも市販されています。磯からヒラスズキを狙うのであれば、最低でも12ポンド(6キロ強度)のラインが必要ですが、サーフ等の根づれの無い場所ではそれより細くてもドラグを効かせれば問題はありません。但し、ショクリーダーは必ず必要で目安としては、使用するラインの強度の3倍くらいが理想と言えます。又、P.Eライン等のハイテクラインを使う人も増えていますが、ハイテクラインはナイロンに比べて伸びが無く耐久力は有るのですが、その分一瞬にして強いテンションが掛かり、身切れを起こす事が多くあります。ハイテクラインを使う時は、ドラグを緩めにセットし、尚且つロッドの柔軟性を生かしたファイトをしなければなりません。ヒラスズキを狙うルアーは、基本的にミノータイプ(小魚のイミテーション)と言う事になります。ミノータイプにも大きく分けて4つのタイプがあります。水面に狙いを付けるときに用いるトップウォーミノーと、リトリーブと共にアクションしながらダイビングしていくフローテイングミノー、それに水中での比重が1対1のサスペンドミノー、それと着水と同時に沈んで行くシンキングミノーがあります。サイズ的には、ロッドで振り切る事の出来る重さを目安にすると良いでしょう。ヒラスズキの場合、11〜17cm迄のミノーがメインになります。ルアーのカラーは、何色でなければと言う事はありませんが、使い分けるとすれば日中の太陽光線の強い時はリアル系を、早朝や夕方あるいは夜間はパール系やレッドヘッド等のアトラクターカラーが良いでしょう。夜間など暗い時は、白っぽいルアーの方が人の目にも良く見え安心感を得られるのと、安全面についても良いと言えるでしよう。


ヒラスズキの狙い方は?  

ヒラスズキほど、自然条件に左右される魚はありません。それも、磯で狙う場合と河口で狙う場合、あるいはサーフから狙う場合とではそれぞれの条作が異なってきます。
磯のヒラスズキの場合は、良く「サラシを狙え!」と言われていますが、これはサラシの下をフィーデイングスポツトとしている為で、普段は30〜50mの深みにいるヒラスズキが荒れ気味でサラシの出来る時に浅場のサラシの下へとエサを求めてやって来るのと、サラシの下は警戒心の強いヒラスズキが身を隠すのにも絶好のスポットとなる訳です。河口のヒラスズキは良く「雨後を狙え!」と言われるくらいで、雨がキーワードとなります。これは、雨の後に河川が増水し濁りが入る為、警戒心が薄れるのと上流からエサになる小魚が流されて来る為と考えられます。サーフ(砂浜)から狙うヒラスズキも同じで、小波があってしかも波打際に濁りが入っている時が狙い目です。磯から狙う場合は、サラシの状態をよく観察する事です。サラシがあれば何処でもと言うのでは無く、ヒラスズキの付くサラシには幾つかの共通点があります。先ず、沖の深場から溝が入り込んでいる様な地形である事、次に潮当りの良い岬の先端に位置している事、サラシの下にヒラスズキが身を寄せる事の出来る岩やえぐれた場所がある事、サラシが常に白い泡で覆われていて消えない事等がヒラスズキのつく条件と言えます。従って、この様なサラシを見つけたら先ず、キャストと言う事にないりますが、ここで注意しないといけないのが、波のサイクルやサラシの広がるタイミングを測ってキャストしなければバイトするタイミングを外したり、競り上がる波などは危険を伴う場合もあります。活性のあるヒラスズキは、トップウォータープラグでも狙えますが、サラシの中でのトップウォーターゲームはタイミングを計るのが難しく、高度なテクニックを必要とします。ミノータイプを使う場合、基本的にはフローティングミノーで十分ですが、サラシの中ではアピールカのあるルアーが良く、スローリトリーブでも安定したウォブリング若しくは、ローリングアクションが起こるルアーに実績があります。河口のヒラスズキを狙う場合は、上流からの流れ(真水)と海水が混ざる所で河川の中にかけ上がりやテトラポット等のストラクチャーがあればポイントとなります。上流から流れ出る真水は、濁っている場合が多く、又海水は淡水より比重がある為、下へと入り込んで来ます。流れてきたベイトフィッシュ(淡水魚)が海水に入ると極端に弱る為、そのベイトフィッシュを狙ってヒラスズキが河口へとやって来る訳で、当然満潮時と干潮時とではポイントが異なります。根がかりの少ないサーフや河口域では、シンキングミノーを使う事もありますが、基本的にはフローティングミノーが使い易く、早朝の活性の高い時はファーストリトリーブで狙うのも効果的です。ヒラスズキが狙える様な時は、波が高く又、河川では増水時と言う事になり、違った意味で危険な日と言えます。安全対策を怠らない様にしましょう。


ヒラスズキに関するスーパーべ一シツク!は近日公開予定の最強のシーバスゲームを参照してください(ただいま工事中)

ヒラスズキの生態に関するスーパーベーシックは、「シーバステクニカルノート」「シーバステクニカルノート2」(岳洋社)にも著筆しています。



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