オオクワガタ

オオクワガタ?ってこんな虫

何故、オオクワガタかと言うと、ルアーマンの中には昆虫の好きな人が多いのと、オオクワガタもクワガタハンターにとってマニアックで魅力のある昆虫です。 ところが、オオクワガタも近年一部の愛好家の他に(オオクワガタブーム)とやらで脚光を浴び過ぎ、乱獲によって絶滅に追いやられているのでは?と言う心配まで出てきました。けれども、オオクワガタの場合、ブリーテイングによって一般の人でも成虫を作る事が出来る為、絶滅に至る事は無いでしょう。しかし、知識の無い人が各地の山にブリードした成虫を放虫する為、本来その土地にいないはずの形状をしたオオクワガタが見っかったり、天然物を探す事に熱くなり木を切り倒したり根株を荒らしたりと、マナーの上で常識の無いオオクワガタマニアが増えているのも事実です。これらの事は、釣りの世界にも非常に似たところがあります。釣りも虫採りも一定のルールとマナーがあるのでは?と考えます。
それでは、オオクワガタの魅力とは?オオクワガタは、学名(Dorcus curvidens binodulus)と言います。日本に住むクワガタの中でも大型に属し、洞穴性が強く普段は木の穴に住み夕暮れとともに活動します。その為か、発見するのが難しくクワガタマニアからも(幻のオオクワガタ)と呼ばれています。日本での分布は、本州・四国・九州等に広く分布していますが、住んでいる木が限られているのと、時期や時間帯が上手く合わなければ採集する事は出来ません。クワガタの仲間は、クヌギやナラの木の害虫と言われていますが、生きた木を食害する事は少なく、殆どが枯れた木や倒れて朽ちた木を生活と繁殖の媒体にしています。又、成虫や幼虫で冬を越す事で知られています。オオクワガタは通常2年で成虫となりますが、ブリードした場合1年で幼虫となり成虫へと変態します。天然もので過去に採られた最大のものは、80mmと言われています。

何時、何処で採れるのか?

オオクワガタは、成虫で冬を越す為1年中捕獲する事が出来ますが、木の中で冬眠する為採るとすれば木を切ったり幹を剥いだりしなければなりません。自然環境を守る上でも、冬場の採集は避けるべきでしょう。オオクワガタは、クヌギやナラの木を生活と繁殖の媒体としていますが、特にクヌギの老木にいる確率が高い様です。それも根元が太く穴が多い木ほど、オオクワガタに好まれる様です。クヌギの木は、落葉広葉樹でシイタケやヒラタケのホダ木に良く使われますが、自生しているクヌギの木にもシイタケやヒラタケが、生えているものがあります。この様な木は、オオクワガタの幼虫が好んで食べる為、キノコの生えたクヌギの木は探すだけの価値があるでしょう。時期的には5月下旬頃〜10月上旬くらい迄が活発に動き回る為発見し易く、時間的には夕暮れから日没後1時間位迄が最も活動する様です。穴の近くのエサ場の周りや、入口付近にいる事が多く、あまり棲み家の穴から離れた場所にはいない様です。又、才オクワガタの住むクヌギの木は余り高い山の中よりも、平野部や里山にある台木(枝を払った為に太くなった木)にいる事が多く、樹齢の浅い細い木や穴の無い木には殆どいません。


道具は?

オオクワガタ採りは夜に行動する為、安全面を考えなくてはなりません。先ず、ライトは必需品ですが、手で持つ懐中電灯よりもヘッドランプの方が使い易く、ライトを点けたまま両手を使う事が出来ます。それに帽子も必要で、木の上から落ちてくる毛虫などから頭を守ります。足元は、必ず靴を履き長ズボンを着用する様にしましょう。夜は昼間と違い毒の有る虫も出てくる為、当然長袖も必要です。又、木に触れたりする時は必ず薄いゴム手袋が必要です。間違って、毛虫やムカデに触れたりすると大変な事になります。その他、汗を拭くタ才ルや防虫スプレー。初めて入る山では、方位破石等もあると便利です。次に、オオクワガタを捕る時に使う道具の必需品としては、穴の中を見る為のペンライトや穴の中からオオクワガタを引き出す為の金属棒等も必要です。白転車のスポークの先をL字型に曲げたものが使い易いでしょう。最後は捕ったオオクワガタを写真に収める為のフラッシュとカメラが必要です。写真を撮った後は元の木に逃がしてやりますが、記録を取る為のメジャーかノギスがあれば便利です。それに、1人では森に入らず必ず二人か三人で行動する様にしましょう。

採り方は?

オオクワガタは洞穴性が強く、普段は穴の中に潜んでいて夜になると穴から出て活動を始めます。
その為、採集する時は日が暮れるのを待ってから森に入ります。オオクワガタが穴から出ている時は、素手でも採取する事ができますが、穴の中にいる場合は道具が必要です。自転車のスポークの先を曲げたもので上手くオオクワガタの腹の下に入れ、徐々に引き出してくる訳ですが、大切な事はオオクワガタに傷を付けない様に、取り出さなければなりません。無理に引き出すと、オオクワガタの体に傷を付けてしまったり、足を切断したりする事もあります。上手く取り出すコツは、オオクワガタの尻の方から小刻みに突ついてやると、前に歩く様に取り出す事が出来ます。又、トンネル型の洞穴にいるオオクワガタは一方から追い出す事も出来ますが、煙玉を使ったりすると他の虫にも害を及ぼす事があります。この様な時は、一方の穴からペンライトで光を入れ、細いハリガネをその穴に応じて違ったものを使います。木の穴では無く、木の幹の間や裂け目にいる場合も良くあります。L字型に曲げたスポークで簡単に引き出す事が出来ます。間違っても木を切ったり、根っこを割ったり、薬物を使うのはマナーに反する行為です。

松浦昌治のオオクワガタに関するスーパーべ一シツク!   

オオクワガタ(Dorcus curvidens binodulus)には、それぞれ産地によって個体差がある事は知られています。オオクワガタの産地として有名なのは本州では山梨県と大阪府で、特に大阪府の北部から京都府にかけての山に生息するオオクワガタは、アゴ(ハサミ)が太く大きい為美形と言われています。中部地方や山陽方面にいるオオクワガタは、ハサミが細く横に湾曲した個体が多いと言われています。しかし、中国大陸に生息するオオクワガタは何故か大阪府産に近いハサミを持っています。又、数は少なく幻のオオクワガタ?と迄言われている紀伊半島産のオオクワガタは、腹側に金色の毛が多く生えています。十数年前にクワガタマニアからヨシノオオクワガタと呼ばれていた個体が、この紀伊半島産という事です。オオクワガタをブリードすると良く解るのが、必ずしも親虫が大きければ子も大きくなるとは限りません。要は、成長する過程において、どれくらい良い条件が揃っているかと言う事です。オオクワガタの場合、自然界では3令虫で始めて成虫となりますが、1〜3令に掛けてどれだけエサを食い、栄養を摂取するかによって既に幼虫の大きさが違い、当然成虫になっても大きさが違っています。オオクワガタが生活と繁殖の媒体にしているクヌギやナラの木は落葉広葉樹に属しますが、ナラとクヌギとでは自生している場所が少し異なります。ナラは、ミズナラやコナラと同じくクヌギに比べると、やや高地に自生しています。クヌギは、シイやカシワの木と同じで、低い丘や里山に多く生えています。オオクワガタは、ナラの木よりもクヌギの木を好むと言われていますが、この事から言うとオオクワガタは、余り高い山には少なく低い山の方が多くいると言う事になります。経験上、これは言えると思います。余り高い山で採取した事はありません。おそらく、媒体になるクヌギの木は低い場所に多いと言う事でしょう。
同じ洞穴性のヒラタクワガタ(Dorcus titanus pilifer)もオオクワガタと同じで、クヌギやナラの木を媒体としていますが、どちらかと言うと、ヒラタクワガタはオオクワガタより高い位置に迄生息している様な気がします。それに、明らかに住み分けが行われているみたいで、ヒラタクワガタの多い森で、オオクワガタを採集した事は1度もありません。又、1本の木からオオクワガタとヒラタクワガタを同時に採集した事も殆どありません。やはり、どちらもある程度のテリトリーがあり、住み分けがされている様です。しかし、コクワガタ(Dorcus rectus rectus)は、どちらの木からも同時に採集されます。



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