サツキマス

サツキマスってどんな魚?    

サツキマスはサケ科に属し、学名をOncorhynchus masou ishikawaeと言います。D13〜18;A13〜17で一生を河川内で過ごす陸封型をアマゴ、降海型がサツキマスです。ヤマメに最も近い種類で、主に太平洋側と瀬戸内側に流れ込む川の上流部に生息し、幼魚期はパーマークとヤマメには無い朱点があるのが特徴です。囎化した稚魚は約1年を川で過ごし11月頃に川を降ります。海に入った幼魚は、中層を少数の群れで回遊し翌年の4〜5月に再び元の川へ戻って来ます。そして、上流域を目差し1O〜11月に産卵します。産卵行動には、やはり河川型のアマゴが産卵に加わる事があります。性質は、かなり俊敏で警戒心が強い反面、貧欲で昆虫や小魚など生きた物なら何でも食べる様です。又、海にいる時は殆ど小魚を捕食し、特に湾内に多い小アジやイカナゴを主食としています。(胃の中の内容物調査によって調べられている)又、海にいる時の個体は、全身が銀色でウロコが剥がれ易く、特徴である朱点も外からは確認出来ない事も多く、近い種のサクラマスが70cmクラスになるのに対しサツキマスは最大50cmクラスで、稀に60cmに達する個体もあると言われています。特に、伊勢湾に注ぐ木曽三川(長良川・木曾川・揖斐川)に遡上する個体は体高があり、大きい事で知られています。河川型であるアマゴの分布は、神奈川県匂川以西の太平洋側と四国全域と瀬戸内に流れ込む河川、それに大分県の大野川以北の各河川に天然に分布していますが、近年ヤマメの分布域にも放流によって移植されています。その為、福井県の九頭竜川の様にサクラマスの住む領域で釣られる事もあります。かつては、大阪市内を流れる淀川でもサツキマスが大量に遡上し水産資源として重要な位置にあった事が、資料によって伝えられています。長良川の堰の問題と同じ事が各河川でも取り上げられていますが、サツキマスは海から上流域迄を回遊している為 川を堰止められると、当然生息出来なくなってしまいます。サツキマスの将来は、河川と環境問題に大きく関わっていると言えるでしょう。

何時、何処で釣れるのか?    

サツキマスも地域によって遡上する時期が、異なります。サツキマスと言うくらいで、サツキ(ツツジ科の植物)の咲く5月位からが狙い目と言えるでしょう。が、実際にはそれよりも早く釣れ出します。アマゴの生息する水系であれば、何処でもと言う訳ではなく、ある程度の水量と川に長さ(河口から上流迄の距離)がある事が条件と言えます。河川によっては、禁漁期間が違いますがアマゴの解禁と同時に狙う事が出来ます。初期の頃は、河口近くを狙いその後は、サツキマスの遡上に合わせて中流域から上流域へと狙いを変えて行きます。禁漁期間のアマゴと同じで産卵に入る9月上旬から翌年春迄が一般的に禁漁とされています。サツキマスで有名な伊勢3川(長良川・木曾川・揖斐川)では、早くから遡上がはじまり、かなり遅くまで続きます。特に6月中旬頃には、中流域で大型が連れる事はかなり知られています。しかし、それ以降は食性が変わるせいかルアーの反応が悪くなり、代りに川虫・ミミズを使ったエサ釣りで大型のサツキマスを釣る事が出来ます。フライで大型が釣れるのもこの頃で、ウェットフライかストリーマーを使います。その他の河川でも、同じ事が言えます。又、川の途中にダムが出来てしまった為に降海できなくなったいわゆる、ランドロックされたアマゴ(サツキマス?)は一年中を通じて狙う事が出来ます。 奈良県の池原ダム、兵庫県の生野銀山湖などがその例です。

サツキマスのタックルは?    

基本的にはトラウトロッドで十分ですが、ポイントによっては川幅があり、流れのきつい場所もあります。こう言った場所では、幾分タックルもヘビーになります。比較的小さなミノーやスプーンをキャストする為、スピニングタックルが使い易くラインもルアーの動きを考えて8ポンド位迄で良いでしょう。トラウトロッドとして市販されているものには、5フィート位の渓流専用のロッドから、9フィート前後の本流用、若しくはサクラマス専用ロッドがありますが、ポイントに合わせてロッドを選ぶ事が大切です。ルアーは、バランスの良い小型のミノーとスプーンがメインとなりますが、時期によっては小型のジグヘッドにミニグラブを付けて狙う事もあります。 特に、中流域から上流域に達した頃のサツキマスは、食性が変わるせいかソフトルアーに良く反応します。ミノーで狙う場合は、4cm位から9cmのサイズを選びます。タイプはフローティグとシンキングの両方揃えておいた方が良いでしよう。サツキマスは、数匹の群れで瀬に付いている事もあり、そう言った場所ではフローティグのミノーが威力を発揮します。逆に、川の淵のトロ場では、シンキングミノーやウェイトのある肉厚のあるスプーンに分があります。


サツキマスの狙い方は?

サツキマスを狙う場合、基本的にはサクラマスと同じトラウトタックルを使います。しかし、サツキマスはサクラマスより幾分小型で食性面から見ても、やや昆虫を好む傾向があります。 海から河川へ入ったサツキマスは、ミノータイプのルアーによく反応しますが、中流域に達した頃から次第にルアーへの反応が鈍くなり、代って川虫やミミズを使ったエサ釣りで釣れる様になります。岐阜県の長柄川や木曽川では、6月を過ぎた頃から、中流域でミミズを使ったエサ釣りが盛んに行われています。サツキマスは、ミノータイプのルアーの他にスプーンやスピナーでも狙う事が出来ますが、早い時期はミノータイプのルアーに実績がある様です。6月を過ぎてからは、ミノーで釣りにくくなる為スプーンやスピナーを使うのも効果的です。これは、サツキマスの食欲よりも、闘争心を刺激し食いつかせる訳で光る物や赤系の色に鋭く反応します。サツキマスが上流域に達すると、スピナーも使えますが抵抗の大きいスピナーは糸ヨレの原因となります。スピナーを使う場合は、水没した障害物や岩周りのショートキャストでテンポ良く攻めるのに使いますが、水流が早い場所では浮き上がってしまう為使いづらいでしょう。 最近では、わずか4cmくらいのミノーも重心移動システムが採用されていて、良く飛ぶのと低重心でバランスが良い為流れの速い場所でのミノーイングも可能となりました。 ミノーを使う時のメソッドは、サクラマスを狙う時と同じU字メソッドで狙いますが、ツィッチングを加えると更にサツキマスの闘争心を掻きたてます。スプーンを使う時も同じで、厚味のある小型のスプーンを上流に向けてキャストし、流れに乗せて下流にラインが張る瞬問にツイッチを加えます。フライフィッシングで狙う場合は、基木的にウェットフライの釣りになります。下流域で狙う場合は、5〜8番位迄のシンキングラインを使い、デシーバータイプのストリーマーで狙えますが、食性が小魚から昆虫に変わる頃になるとウェットフライのルースニングメソッドが効果的でしょう。しかし、フライに対する反応はかなりセレクテイブでサイズや色によってかなり釣果が変わります。


松浦昌治のサツキマスに関するスーパーべ一シツク!

天然遡上?大阪市淀川(毛馬)にて  

サツキマスはアマゴ(0ncorhynchusrhodurus)の降海型で、主に太平洋側に注ぐ河川に生息し、上流域から海迄の間を回遊するとされています。それでは、同じアマゴでも海に下るタイプと河川内に留まるタイプとは、何処が違うのでしょうか?一説によると、縄張り争いに負けたアマゴが新たなテリトリーを求めて降海し、再び繁殖の為に川を遡るとも言われています。 しかし、ここ数年放流事業が盛んで各地の河川にアマゴが放流されています。放流アマゴの殆どは、養殖生産された固体で、本来その河川に生息していたものではありません。 けれども、放流されたアマゴの中の何匹かは、川を下り海へ入った後再びその川へ戻っているのも事実です。これは、アブラビレをカットして放流する調査でも確かめられています。やはり、サツキマスもサクラマスも生れた時から遺伝子によって降海するものと河川に留まるものがあるのでは?と考えられます。伊勢湾に注ぐ長柄川では、昔からサツキマスを専門に狙う川漁師さんが居ますが、その漁師さんの話によると、サツキマスにも幾つかのタイプがあり川を下った後、伊勢湾を回遊し再び川に戻ってくるタイプが本当のサツキマスで、川を下っても河口近くで留まっていて伊勢湾を回遊せず川を上るタイプ、それに河川内で上流と下流を行き来しているタイプとがあり、それぞれ体型が異なるそうです。長柄川の川漁師さんは、伊勢湾の沖を回遊し、再び遡上してくるサツキマスは全て40cmを超えており、中には60cmに達するものもいると言います。又、このタイプの個体は全身が白銀色でウロコが剥がれ易く体高があり、顔がいかついのが特徴で見かけにはアマゴの特徴である朱点は見えませんが、ウロコを全部剥ぎ取ると朱点が現れると言います。もう1つの河口付近に留まる個体は、さほど大きくはならず30cmクラスが最も多いと言う事で、早い時期から遡上が始まるそうです。 この個体は、全身が白銀色のウロコで覆われていて朱点も外部から確認出きるそうです。それに、頭に丸みを帯び、顔もいかつくないとの事。もう1つは、俗にギンケヤマメならずギンケアマゴと呼ばれているタイプで、海には下らず河川内の深みに留まって1年を過ごすタイプで、やはりウロコが剥がれ易く外部から朱点が確認され尾ビレや背ビレがアマゴの特徴である黄色味がかった色をしています。このタイプに体高のある個体な無く、春先に河川域に多いそうで、稀に40cmクラスのものもいるそうです。長柄川の漁師さんの話が本当ならば、サツキマスは40cmを超えなければサツキマスとは言えない事になります。何年か前にある雑誌でこの事が取上げられた事がありますが、その雑誌にもサツキマスと長柄マスそれにアマゴマスがいるのでは?と書かれていました。ここ近年、長柄川でもアマゴの放流が盛んになるにつれて、サツキマス以外のタイプ?が増えている事、この話から言うと、紀伊半島や瀬戸内に流れ込む河川で釣れる30cmクラスは、本当のサツキマスでは無いのかも知れません。



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