探検釣行紀 海外編
オーストラリア トリニティーエスチェアリィー


ガイドのデビッド氏

マリー川

いたる所にあるレギュレーションボード


エスチェアリィーとは、湿地帯の事です。オーストラリア北部のクィーンズランド州には多くの川があり、その河口部はマングローブの茂る沼地が広がっています。そこには、海水と淡水が混ざり合う汽水域で、バラムンディーを始め多くのゲームフィッシュがいます。又、河口域は複雑な地形になっており、所々に‘ビラボン’と呼ばれるワンドがあり、それらのワンドは無数の水路でつながっています。その為か、地元のガイド無しではとても入り込める様なエリアではありません。クィーンズランド州は、亜熱帯気候に属しますが四季があり、3〜4月は雨期にあたります。しかし、雨期のころは上流から流れ出る真水の量が多く、海の干満とがぶつかる為多くの魚が集まって来ます。ここでの釣りのスタイルは、13フィート位のアルミボートに船外機エンジンとエレクリックモーターで水路を探りながら移動すると言う、丁度フロリダのバスフィッシングに似ています。私もこの釣りのスタイルが好きで、過去にも何度かこの場所を訪れた事がありますが、さすがに雨期の頃は半端じゃありません。まるで生ぬるいシャワーの様な雨が、丸一日中降り続きます。1995年の3月に行った時も、やはり天候が悪く、ガイドマスターから「トレバリー釣りにチェンジしては?」と迄言われてしまいました。しかし、この釣りが好きな私は、あえて雨の中をマリー川の河口目指して、車を走らせたのです。


バラマンディのアベレージ

入れ食いのパシフィックターポン

地元ガイドのジョニー氏


ガイドは、このエリアに詳しいデビッド(頭の剥げた陽気なおっさん)とスプラッシュのメンバーで神戸の中島 穂積氏の3人です。ケアンズのホテルからアルミボートをけん引しながら、約2時間半程走り、ようやく目的地のエスチェアリィーに到着しました。2時間半程と言っても、オーストラリアの信号の無い一本道を平均速度100キロで走る訳で、日本の感覚とはかなり違います。タックルを用意していると、スロープに立ってる看板が目に入りました。それは、属に言うレギュレーションボードと言うやつで、魚のバッグリミットや注意事項等が事細かく書かれていました。読んでみると、バラムンディやクィーンフィシュの1日にキープ出来る匹数やサイズ、それに釣って良い時期迄も書かれていました。都心部からこんなに離れたカントリィーなのに、ここでもレギュレーションとマネージメントによって資源が守られている訳で、またも自分の祖国である日本が心配になってきました。ボートを降ろして、タックルをセットしたところからまたも雨が激しくなってきました。ガイドがレインコートを貸してくれたのですが、大きすぎてフィットせず駄目。それでも、私と中島氏を乗せたアルミボートは、どしゃ降りの水路を2時間程走り遂に、目的地の‘ビラボン’に到着しました。雨は時たま止んで、強い日差しが差し込むと思いやシャワーの様な雨が降ったりと、はっきりしない状態が続きました。キャストし始めて直ぐに、中島氏が小型のバラムンディをGET。続いて、私にも小型のバラムンディ。と一時は、小型のバラムンディの入れ食い状態になり、私はフライを試す事にしました。フライを試せるのも、魚が多いこのエリアならではの事で、ピンク色のバックテイルのストリーマーに頻繁にバラムンディがバイトして来ました。その時ガイドのデビッドが、雨に煙る水路の先を指差して「クロコダイル」と叫びました。見ると黒い影がゆっくりとブッシュの中に入って行くのが見えました。中島氏と顔を見合わせて「クロコダイルって、ひょっとしてワニ?」。ガイドの話では、この辺りはソルトウォータークロコダイルのエリアで、300キロを越えるデンジャラスなワニがいるそうです。ヤバイ!さすが、オーストラリアの秘境。その後もマングローブの水路を通って、ビラボンからビラボンへ移動し何種類もの魚を釣る事ができましたが、中でもパシフィックターポン(イセゴイ)の入れ食いには、驚きました。西表島の河口で釣った時は、珍しさのあまり何枚も写真を撮ったのですが、ここでは入れ食いと言うか、これしか釣れない様な場所もありました。このエリアで釣った魚は、バラムンディやパシフィックターポンの他にマングローブ・ジャックやバラクーダー、それに小型のトレバリィーや日本には居ないグランター等も、釣る事が出来ました。いつも思う事ですが、こんなに色々な魚が入れ食いのごとく釣れるこの様な場所なのに、バッグミットや時期等が州によって決められているのは、やはりスポーツフィッシングの先進国ならではの事なのでしょうか?それとも考えてみれば、マネージメントがあるから、何時来てもよく釣れるのでしょうか?いづれにしても、今の日本に一番大切な事は、‘ゲームフィッシュのマネージメント’即ち「釣魚の管理がされる」と言う事だと思います。でないと、このままでは近い将来1人につき一匹の魚も釣れなくなるのでは?とすら、思えてなりません。一体、日本の国は何をしているのでしょうか?一体、日本の釣り人は何を考えて釣りをしているのでしょうか?もし、貴方のよく行く釣り場にレギュレーションボードが立っていて、バッグリミットが書いてあったら、貴方はそれを守れますか・・・?


フライでのバラマンディ

ヒットフライはピンクシング

日本には居ないグランター



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