探検釣行記 国内編
然別湖のミヤベイワナ

然別湖の湖畔 手漕ぎボートで狙います ボート着き場から対岸を望む

 ミヤベイワナ(Salvelinus malma miyabei)は、オショロコマの陸封型で、サケ科イワナ属に属し、北海道の然別湖にのみ成育しています。元々、河川に生育していたオショロコマが、火山の噴火でせき止められた然別湖で独自の進化を遂げたと考えられています。その為、レッドデータブックの中でも絶滅危惧種に指定されており、北海道の然別湖では天然記念物に位置付けられています。
 大雪山国立公園唯一の自然湖である然別湖では、ミヤベイワナの調査目的を兼ねて、1年に2回ファーストステージ(初夏)とセカンドステージ(秋)の数日間に分け、一般のアングラーに特別解禁と言う形で釣らせています。その為、釣れたミヤベイワナの数や大きさなどを管理している関係者に報告しなければなりません。それに、ダメージを最大限少なくする為に、シングルフックのオールバーブレスフック更に、オールリリースが義務づけられています。私の訪れた6月の初旬は比較的水温も安定していて、最も釣りやすい時期といえます。それに、水面に落ちるエゾハルゼミ等の昆虫を捕食する為、水面のフライにもよく反応する時期といえます。元々ミヤベイワナは小魚よりも昆虫を好んで食べるインセクトフィーダーであるため、ルアーよりもフライの方に良く反応する事もあります。しかし、サイズアップを狙うのであれば、スプーンの方が有利といえます。また、然別湖では、手漕ぎのボートをレンタルすることも出来ますが、一部岸からの釣りも可能です。但し、フライで狙うとなれば、バックスペースが必要となる為、ウェーディングする必要があります。そうなるとポイント的には湖の右岸の約1/2ぐらいのエリアに限られます。また、然別湖のミヤベイワナに関して面白いのは、遊泳する層や水中の着き場によって、背中の色が異なり、約3つのパターンの色があるといわれています。その一つはシャローの障害物周りを棲家とする背中の茶褐色(ブロンズバック)と呼ばれる固体。それに沖合いの中層を泳ぐ比較的青い背をした(ブルーバック)。それと、少し深い水底に生育するグリーンバックと呼ばれる固体がいるのもミヤベイワナの特徴です。2010年に訪れた時は、幸運にもルアーとフライを使って1日に3色の固体を釣り上げることが出来ました。(カラーバリエーションのグランドスラム)。

ブルーバックと呼ばれる個体 ブロンズバックと呼ばれる個体 グリーンバックと呼ばれる個体


 然別湖で使うタックルは、ルアーで狙う場合、小型のスプーンがメインとなります。スピニングタックルが使い易く、ボートからだと6〜7フィートのウルトラライトアクションのロッドにナイロンラインでは、2ポンド〜6ポンドくらい、PEラインだと0.5〜1.5号くらいが良いでしょう。スプーンは2〜6グラムくらいが良く使われていますが、少し深い層を狙うのであれば、8〜10グラムくらいも使うことがあります。スプーンの色は、ほとんどの色に反応しますが、地元のアングラーの話によると、水が濁り気味の時はアカキンかコパー。また、水がクリアな時はグリーンやブルーによく反応するといわれています。また、近年アワビ貼りのスプーンも実績があるようです。湖岸にある入漁券売り場にも、予めシングルフックに交換したスプーンやフライが売られています。その他もスピナーやアイスフィッシング用のジグにも実績があります。フライで狙う場合は、水面に虫が落ちる時期は当然ドライフライの釣りが面白く、カディスパターンやパラシュートパターン、アントやモスキートパターンにもよく反応します。それに、6月の中旬以降になると、北海道に多いエゾハルゼミが水面に落ちる為、ハルゼミパターンやバスバグでも狙うことが出来ます。但し、ニジマスもよくバイトする為、ティペットは4X以上にしておいたほうが良いでしょう。ウェットフライで狙う場合は、10番〜15番くらいのマラブー系のフライに実績があります。しかも少し沈めて、小刻みなリトリーブによく反応するようです。色的にはオリーブやブラウンもしくはナチュラル系の色に実績があります。逆にオレンジやチャートリュースを使うと、ニジマスやサクラマスがよく反応するようです。然別湖のレンタルボートは基本的にワンボート、ワンアングラーでボートの上に立ち上がってキャストするのは危険な為、座ったままでのキャストとなります。また、安全の為、ライフジャケットも忘れずに。

サクラマス(銀毛ヤマメ) ミヤベイワナ レインボートラウト



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