探検釣行記
土佐のアカメ

浦戸湾の121cm タグ&リリース フライロッドで100cm

 アカメと言うとすぐに四万十川を思い浮かべる人も多いと思います。確かに(日本最後の清流)とまで言われる雄大な川の河口に立ち込んでキャストするイメージを持っているアングラーも多く、世界記録のアカメもこの四万十川河口で釣られています。けれども四万十川でないとアカメはいないかと言うとそうではなく、実は都会のベイエリアにも多く生育しているのです。高知県の高知市は浦戸湾と言う大きな内湾に面し、幾つもの川が流れ込む為か、浦戸湾全体がアカメのポイントになっています。しかし、いくら浦戸湾にアカメのポイントが多いからと言って、そう簡単に釣れる魚ではありません。あまりに釣れない事から中には「幻のアカメ」とまで言われています私もアカメ狙いに行って、最初の1年は、まったくの○ボーズ。2年目の夏に、土佐レッドアイのO氏のアドバイスでやっと釣る事が出来たのです。1992年の8月の事でした。それからも毎年夏になると、数回大阪から遠征を繰り返していたのですが、けっして確立の高い釣りではありません(地元の人は釣っているかも知れませんが?)。その頃は、太平洋に面した漁港や小さな川の河口等を主に狙っていました。けれども1996年頃からアカメ釣りをまったくやめてしまったのです。理由は釣れないからではなく、大阪の釣りクラブと地元高知の釣人がポイントの取り合いとマナーの件でもめ事になり、一時は暴力事件?にまで達したと言う話でした。釣りに行ってもめ事に巻き込まれたくありません。確かに一時期、関西のアングラー達が、アカメ釣りに熱くなった時期がありました。ショアからの釣りの場合、どのジャンルの釣りでも同じですが、熱くなるとなんだかの問題がおこるのも事実です。そこで問われるのは、やはり我々釣人のマナーと大人的な判断行動だと思います。私の場合、全国各地に釣りに行きますが、知らない土地に行った場合、常に釣りをさせてもらっている事を念頭において釣っています。アカメ釣りの場合、ポイントや条件が限られる事もあって、1つのポイントに見知らぬ複数のアングラーが入る場合もあると思います。

フライでの97cm 20キロクラスのアカメ  SPLASHカスタムアカメスペシャルで


そう言う点では、浦戸湾はポイントが多く、出来る限り釣人のいないポイントを選ぶ事が出来るのと、まったくのベイエリアの為、比較的に足場がよく軽装備でポイント巡りが出来るのも浦戸湾の特徴かも知れません(私の場合、ウェーダーを履いてフル装備で釣っていますが・・・)。同時に足場がいいと言う事は、アカメのリリースも容易に出来ると言う事です。それこそ、磯から釣るヒラスズキに比べると、数倍簡単な気がします。過去にも数回アカメをタグ&リリースした事がありますが、経験上外海に面した漁港のテトラポッドからアカメをタグ&リリースするのは至難の技?とまで言わないにしても大変な事だと思います。何もそこまでしてリリースする必要があるの?と思われる人もいると思いますが、私は、アカメに関しては、オールリリースだと思います(現時点では)。オールリリースと言うと、反感を持たれるアングラーも多くいると思いますが、明らかな事は、食物連鎖の頂点に君臨する魚に間違いないと言う事、特に浦戸湾においてはアカメ以上に大型になる魚はいないのと、地元のアングラーの意見でもやはり以前に比べると少なくなって来てるとの事です。

126cmのアカメ アカメにタグを装着 早朝にHITした91cm


私の知り合いで、高知市在住の
I.M氏の話によると氏が、中学生の頃(1975年頃)は、浦戸湾の水も今ほど汚れてはなく、あちらこちらでアカメの泳ぐのが見れたそうです。I.M氏とは、浦戸湾に通うようになって釣場で知り合ったのですが、I.M氏にはアカメに関する面白い話やエピソードを多数聞かせてもらいました。その中でも興味を引いたのは、I.M氏が中学1年の時、浦戸湾にある漁港の漁師さんがいつも船をつなぐ浅橋の下に大きなアカメが居て、ある日、その漁師さんが手製のモリでそのアカメを突いたのですが、背中近くを貫通した為に、そのアカメは死なず、それから2日間ぐらいの間、下アゴにロープを通され、浅橋につながれていたそうです。学校の帰りにロープをたぐり寄せ、そのアカメを見て帰っていたそうですが、その時の記憶では、全長156センチだったそうです。(推定50キロ)そのアカメは2日後に死んでしまって、近くの砂場に埋めたそうです。もう1つは、高校生の頃、よく夜になると懐中電灯を持って、カニ(ノコギリガザミ)やエビを捕りに行っては、夕食のおかずにしていたそうです。その頃、橋脚のスリットの奥を懐中電灯で照らすと、オレンジ色に光る玉が無数に現れ、よく見ると大型のアカメがひしめき合う様に群れているのを見た事があるそうです。やはり昔は、アカメも多かったと言う事でしょう。(昔はよかった)と言う話は、よく聞きますが、アカメも例外ではないようです。そういった意味でもアカメはリリースするのが望ましいと思います。日本在来のゲームフィッシュとしても大変魅力のある貴重な魚だと言う事は、言うまでもありません。岸からルアーを投げて、30キロを超える魚が釣れると言うすばらしさと、どれ程釣れない魚であるかと言う事も釣れば解ると思います。

リリース! また会える事を願って・・・



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