A国内でマーリン(カジキ)を釣るには?


クロカジキ(125キロ)とのファイト! ハンドメイドトローリングルアー スタンディングファイト!(40分後バラシ)

マーリン(かじき)と言うとどこか海外の海で大型のクルーザーに乗って楽しむ贅沢な遊び?と言うイメージを持っている人も多い。釣りをしている人の中にも「カジキって日本で釣れるの?」とか「日本にカジキなんているの?」と言う人もいるくらい日本でカジキを釣る事が一般的でない事は確かな事である。しかし、かと言ってまったく釣れないのか、又、運に頼らなければならないのかと言うとそうでもない。事実、毎年伊豆半島の下田で開かれるジャパンインターナショナルビルフィッシュトーナメント(JGFA主催)というカジキ釣りの国際大会も行なわれている。(ビルフィッシュ)と言うのはBill(ビル)イコール(角)の事で、角のある魚、すなわちカジキ類の事をビルフィッシュと呼んでいる。日本国内で釣る事の出来るカジキ類は6種類で太平洋に生息するカジキ類の全てを釣る事が出来るが最も多く狙って釣る事が出来るのは、クロカジキ(パシフィックブルーマーリン)で、次にマカジキ(ストライプドマーリン)である。マカジキはクロカジキほど大型にはならず、日本近海では、せいぜい80kgくらいまでである。しかし、早い時期のマカジキは食味が良い為、専門に狙う漁師も多い。狙って釣る事の出来るのはこの2種類であるが、その他にもクロカジキ50本に対し1本と言われるシロカジキ(ブラックマーリン)や鹿児島県の沖に多いバショウカジキ(パシフィックセイルフィッシュ)それに外洋性の小型のカジキでフウライカジキ(スピアーフィッシュ)がトローリングで釣る事の出来るカジキである。1属1類のメカジキ(スォードフィッシュ)は、深海性で食性が他のカジキ類と異なる為、トローリングで釣るのは極めて難しい。時期的にみても太平洋側では、水温が24℃になる6月上旬から水温が下がり始める10月初旬くらいまでの短期間である。又、日本海側では水温の関係上確立はさらに低い。

クロカジキ(158キロ)のテイルウォーク マカジキのジャンプ(三重県錦沖) クロカジキストライクの瞬間!一時間後バラシ

国内でカジキを釣る場合、オーナーボート以外にチャーターボートで狙う事が出来るが、基本的に国内のチャーターボートは、漁船仕様又は、多目的に造られた船が多くチャーターするには、トローリングの装備があるかどうかしっかりと確かめておく必要がある。それになんと言っても経験豊富な船長の船に乗る事(これは全てのボート釣りに言える事)である。トローリングで使うタックルは、普通ラインの強度別にクラス分けされている。最もヘビーなタックルは、130ポンド(60kg強度)で次に80ポンド(37kg強度)50ポンド(24kg強度)30ポンド(15kg強度)くらいまでがトローリングタックルとして使用されているが、初めてカジキを釣るのであれば、80ポンド以上のタックルを使うべきである。それ以下のタックルは少し経験がないとせっかくストライクさせてもバラしてしまう結果になりかねない。次にトローリングに使うルアーも専用の物を使うが、一般に、ヘッド(頭)とスカートから成るトローリングベイト又は、漁師用語で(バケ)と呼ばれるルアーがほとんどである。トローリングに使うルアーは大きく分けて(タコ型)と(イカ型)とがあり、海外で多く使われるのはタコ型で、国内の漁師さんがよく使うのがイカ型である。これには様々な理由が言われているが、どちらでないといけないと言う事はない様だ。ただし、ヘッド(頭)の部分は海外、国内とも様々な説があり日本の漁師さんは、古くからカツオ漁やマグロ漁の際、天然の素材を使って漁をされている事から見ても、天然の素材がある程度効果のある事は確かである。トローリングベイトのヘッドに使われている素材には、貝、牛の角、海松(珊瑚の一種)等がよく使われているが、中には動物の骨やメカジキの角、クジラの歯等もある。これらは、いずれも水中で何らかの光を放つ為、その光が魚を誘惑すると言われている。ここまでがタックルの事で、ここからは船長の腕にかかっていると言っても過言ではない。

福神丸にて(三重県錦沖) ランディングされたクロカジキ 栄宝丸にて(和歌山県周参見沖) クロカジキ(125キロ)錦沖

まず、ルアーの流し方から言うと、クルーザーと漁船あるいは1基掛けエンジンと2基掛けエンジンとでも多少の違いはあるようだが通常は8ノットくらいが標準である。8ノットというとスロー走行ではあるがそれでも高速巻のスピニングリールで力一杯巻いても追いつかない速さである。又、ルアーを流す位置も大切な事で、最も船に近い位置からショート・ミドル・ロングと言う具合にある程度決められている。これには、船行跡や船の大きさによっても異なる様だ。それにルアーのアクションによっても多少の違いがある。ルアーのアクションも基本的には3秒か3.5秒に1回ポッピング(水面から浮き上る)するくらいが良いとされているが、ヘッド部分の形状によってもアクションは変わってくる。ヘッドの形状には、ポッパータイプ・コナカット・バレット・ドアノブ等があるが中には泡を引くシャワーヘッドやラトル入りのヘッド、それに、全体が軟質ラバーで出来ているソフトヘッドと言う物まである。もう1つ大切な事にリールのドラッグ設定というのがあるが、ドラッグとは、ある程度、張力がかかると自動的にラインが放出され、ライン切れを防ぐ装置の事で、スピニングリールにも同じ機能が付いている。ドラッグの設定は、普通、ライン強度の約3分の1くらいに設定すると良いが、これも船速やルアーの形状によっても多少の違いがある。たとえば80ポンドタックルだと27kg強度の3分の1の9kgに設定すると良い。次にルアーにカジキが食い付いた場合(トローリングの場合、ストライクと言う)船速を上げ、確実にカジキの口にフックを掛ける。それと同時に他のタックルを引き上げ、アングラーがロッドを取って、ファイティングポジションを確保する。これからが長い長いカジキとのファイトが始まる。ランディングに関しては、漁師さんの場合、ロープつきのモリを使う事が多いがIGFAルール(世界共通のスポーツフィッシングルール)では、モリは禁止されている。したがってギャフを使う事になるが漁船でのカジキ釣りの場合は、船長の指示に従う事が大切で、オンルールで楽しむ場合、船長さんとのコンセンサスが最も大切である。国内でカジキを釣る場合、1番大切な事は、まず理解と経験の豊富な船長の船に乗ることである。これはオーナーボート以外での全てのボートフィッシングに言える事で、船長がヘタだと少ないチャンスを逃すどころかトラブルの原因にもなりかねない。いい船長を見つけさえすれば国内でカジキ(マーリン)を釣るのも決して夢ではない。

135キロのクロカジキ(二本のモリを撃たれてしまった) 158キロのクロカジキ(1991年8月4日和歌山県勝浦沖にて)ファイティングタイム3時間40分 イカ型(上)タコ型(下)


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