Bシャッドラップラパラのチューン


Aシャッドラップラパラのチューニング
バルサ材程ルアーの素材に優れた材料は無いと思います。バルサ材の持つ浮力は発泡材やABS樹脂では絶対に出せない独特の浮力を持っています。その為か、今でもハンドメイドのルアービルダーの多くはこのバルサ材を使っています。世界一のルアーメーカーと言われるフィンランドのラパラ社は、古くからこのバルサ材を使いFラパラやCDラパラ、ジャッドラップラパラの名品を世に送り出してきました。
バルサ材ならではの浮力を生かしたキビキビとしたアクションは、今も世界中のルアーマンに指示されている様です。しかし近年、日本製のルアーには目覚しい進化と言うか、改革がありました。重心移動システムやタングステンのバラストが内臓されたルアー等、飛距離を出す事においては、世界中のラパラを遥かに越えてしまっています。けれども、いくら飛距離が出てもルアーのアクションはバルサルアーにはかないません。となると、バルサのルアーで尚且つ飛距離が出るルアーがベストと言う事になります。一部のメーカーには、バルサボディで重心移動システム内臓のルアーも市販されていますが、高価な事と大きさに限度があります。(バルサの場合、小型のルアーだと内臓システムが使えない)となると、当然ウェイトアップと言う事になりますが、普通は必要以上にウェイトアップするとルアーのアクションが悪くなります。しかし、バランスの取れた(肝を突いた)ルアーは、少々の事ではバランスを崩す事はありません。


シャッドラップラパラ(F)のヒートンとバラスト

シャッドラップラパラ(D)の断面

そう言った意味では、ラパラ社のオリジナルフローティングルアー(シャッドラップラパラ)は、最高のアイテムと言えます。シャッドラップラパラは全てフローティングモデルでミノータイプと言うよりは、シャッド(小型の平たい魚)をイミテートしたルアーです。タイプは、ロングリップのディープダイビングモデルと少し変わった形状のリップが付いたシャローランナーがあります。オカッパリのバスアングラーには欠かせないアイテムで、中には‘掟破り’のルアーとまで呼ばれているくらい野池のバスはよく釣れます。しかし唯一の欠点は、軽い為に飛距離が出ないのとベイトリールでは投げずらいと言う事です。そこで、この「シャッドラップラパラ」のウェイトアップ方法をこのホームページを見た人限定でお教えしましょう。(他の雑誌にも書いた事は1度もありません)先ず、ノーマルのシャッドラップラパラを分解してみると分かりますが、丁度腹側にあるヒートンの真上に円筒型の鉛が入っています。バラストが円筒形をしているのは、このシャッドラップラパラくらいではないかと思います。このバラストは浮力と重力との上下バランスを保つ他に何とスイミングの最中に前後のバランスをもとっているのです。前後のバランスとは、リップに水の抵抗を受けて傾いた際に上に起き上がろうとする浮力を使って、後部と前部にアクションを伝える訳で、よく観察すると中心(バラストの入っている位置)から前部もアクションしている事がわかります。その為に、円筒型のバラストが入っていると思われます。これが「シャッドラップラパラ」のメカニズムで、ルアーにウェイトアップする場合2つの方法があります。一つは、ボディに穴を空け粘土オモリか鉛を埋め込む方法です。先ず腹部にリューターで5mmの穴を空けますが、5cm以上のモデルであれば7mm位の穴迄空ける事が出来ます。穴の深さは、せいぜい5mm位迄であまり深く空けるとボディそのものが破損する怖れがあります。画像を見て解かる様に、左右対称では無くぐいちに鉛を埋め込みます。鉛を埋め込んだ後は、エポキシを流し込んで固め乾いたところで、カッターで面一にし更に白のエナメルでコーティングして出来上がりです。一つの穴に平均1.5グラムのウェイトを入れたとすると4ヶ所で6グラム重量が増えた事になりますが、キャストする際6グラムのウェイトアップがどれくらい投げ易くなるかは、使えば分かります。もう一つのウェイトアップ方法は、これも画像を見て解かる通りリップの裏側に粘土オモリか、もしくは削り出しの鉛をエポキシ接着剤で貼り付けます。このタイプのルアーは、リップの裏側に直接水の抵抗はかかりません。しかし、一度リップで捕まえた水を左右に逃がす際に多少のロスが出る事は確かです。それに、前部に重量が増す為アクションも幾分悪くなりますが最大で7cmのシャッドラップラパラを10グラムウェイトアップする事が出来ます。この様に、ルアーをチューニング出来るのはラパラがバルサルアーであると言う事でバルサ程加工し易いルアーはありません。それと、ラパラがよりバランスの取れた市販ルアーである事です。この他にも、様々なルアーのチューニング方法がありますが知っておかなければならないのは、チューニングすると言う事はある意味でそのルアーの機能を壊す事にもなると言う事です。車のチューニングでも全く同じ事が言えますが、トータルバランスのとれた車程安心して乗れる車はありません。しかし、一度最高速度を上げるとなると、それなりの改造が必要となります。チューニングの度合いが増せば増す程、車としては乗りにくい車へと変わってしまうのです。私の様に、加速性ばかり求めたマシンを作って高速でコーナーをきった為に、とんでもない事になった例もありますが、ルアーも同じでチューニングの度合いが増せば増す程、泳ぎの悪い使い難いルアーになってしまう事も忘れずに。


バラストを埋めてパテで穴を塞いでいる。

リップの下に鉛が装着されている。



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