ハンドメイドルアー

大宅 英樹


(クリックすると画像は大きくなります)

 「ハンドメイドルアー」長くルアーフィッシングされている方なら1度や2度は試みたことがあると思いますが、なかなか思ったように出来ず、志半ばにして挫折された方も多いのではないでしょうか。私もそんな中の一人で、よく思いつきでハンドメイドルアーにチャレンジしたのですが、結果はいつも「買った方がいい」で挫折していました。しかし今回、ある事がきっかけで凝りもせず、安易な考えで再(再々?)チャレンジすることにしたのです。
 そのきっかけとはジギング。磯からのルアーゲームが好きで、ヒラスズキや青物を狙いに、一人でも串本までよく釣りに行っていたのですが、結婚を境に皆とワイワイ出来るジギングが楽しくなりよく出かけるようになったのです。そこで、釣れそうなジグは無いか?ショップで色々眺めていたら「もしかしてジグなら自分で作れるかも?それに自分で作ったジグで魚がヒットすればより一層ジギングが楽しいし、また低価格!」と安易な気持ちで私のジグ作りがスタートしたのです。(泥沼の始まり)

 先ずはインターネットでジグ作りの方法を検索し、O-JIG(http://www5c.biglobe.ne.jp/~o-jig/)さんのホームページで制作方法が紹介されているのを参考にしました。

 工程としては、1.ジグの原型となる木型作り、2.鉛を流し込む型作り、3.鋳造、4.塗装とコーティング、と大きく分けてこの4工程となります。

 先ず初めに、ジグの原型となる木型作り。これは削りやすい物を選び(桐かバルサ)自分の好みの形に削り、ステンレスワイヤーでアイを作り木型に取り付けます。そして、セルロースセメントなどで表面に凹凸が無くなるまでコーティングします。(ここで失敗その1。 300gのジグを作ろうとして木型を作ったのですが、実際に出来上がったジグは450gもあった。)

 次に、鉛を流し込むための型作り。私は2種類の方法で型を作りました。1つ目は石膏、2つ目は耐熱シリコン。石膏はコストが安くつくのですが耐久性に欠け、10個もジグを作れば内部が薄利してきて後のバリ取りやヤスリ掛けが大変、また石膏が完全に乾くまで1週間位かかる(これを完璧にしないと鋳造の際水分で高温の鉛が飛び散って危険!)ので時間がかかる。耐熱シリコンはコストが高くつくが、耐久性は抜群で後のバリ取り作業も楽、また硬化するまで24時間おけば鋳造できるので時間を短縮できる。

 作業としては、まず石膏及びシリコンを流し込む枠を作り、その枠の半分まで油ねんど(子供が使うやつです)を敷き詰めます。そして、その油ねんどの上に木型を半分だけ沈め、ズレ止めの穴を何箇所か作ります。

 次にシリコンスプレー(離型剤)を全体に吹き、石膏もしくはシリコンを気泡が入らないよう流し込んで硬化を待ちます。硬化したら裏返して油ねんど取り(型の表面に付いたねんどはきれいに取りましょう)同じ要領で片面も作ります。(失敗その2。 型を2つに離すときは慎重に、石膏の場合型が割れたりします。)そして鉛を流し込む穴と空気抜きを彫刻刀等で開け、型は完成。(空気抜きは最後部に開けるようにし、鋳造してみて窪みが出来るようならその都度増やす。また鉛が入る部分がつるつるだとジグの表面がボコボコになるので艶が無くなる程度にペーパー掛けを行う。)

 続いては鉛の鋳造。先に型を挟む物を合板等で作っておきます。(私は型に合板をあてバイスで挟んでいます)そしてジグを作る際、鉛だけでは強度が出ないので錫を総量の20%程度混ぜます。型はドライヤー等で暖め(型が冷えた状態で鉛を流し込むとすぐに固まって先まで入りません。)、ステンレスワイヤーを入れ、型に鉛を流し込み2、3分待って取り出します。(注意! 鋳造は大変危険な作業になります。手袋、防毒マスクなどを着けて作業して下さい。換気を充分にして火事や火傷、鉛中毒に注意しましょう。)

 後はバリをヤスリで削ってジグ表面をならし、100番のペーパーで表面を整え窪みがあればパテで修正し400番のペーパーで仕上げます。(ヤスリは専用の物を使った方が目詰まりもせず、作業時間の短縮になります。)

 次はいよいよ最終の塗装とトップコーティングです。塗装はスプレー缶で吹くか、または少しでも綺麗に仕上げる為にエアブラシを使うかに分かれます。私も始めはコストのことを考えてスプレー缶を使っていたのですが、どうも仕上がりに納得できなくなりエアブラシを買ってしまいました。(結構高かった)

 塗装については色々な方法がありページにも限りがあるので私が今行っている事のみ紹介します。


 先ず初めに、下地作りのためペーパーで仕上げたジグをセルロース(私の場合すべてのコーティングをセルロースで行っている。)で2回以上コーティングし乾燥24時間の後、白のラッカー塗料(ニッペホームペイントハケ塗り用ラッカー 工作・ホビー用)をセルロースうすめ液で薄めてエアブラシでジグ全体を塗ります。(この塗料は上記ホームページで紹介されていたのですが1日乾燥させて色止めせず、そのままセルロースにドブ漬けしても色流れしませんでした。)

 続いては、好みのオーロラシート等を貼り2回以上コーティングします。

 

 後は背中と腹を好みの色で塗装するのですが、私の場合セルロースを専用うすめ液で2倍にうすめたものに染料(Too/COPIC、イラストなどを書くための油性マーカー)をまぜたクリアーベースを塗装しています。

 

 次はトップコーティングするときに、せっかく塗った塗装が色流れしないように色止めし(セルロースを2倍にうすめたものをエアブラシで3回位全体に塗る。釣具店でもセルロース用色止めスプレーは売っています。)最後のコーティングを(私は4回以上)して、完成!(失敗その3。 予定していた室戸のジギングで使おうと急いでコーティングしたらみごとに色流れし見るも無残な姿になってしまった。乾燥は十分に)

 以上が悪戦苦闘した私のジグ作製です。作ってみて思ったのですが「買うほうが絶対安い」というのが悲しいかな結論です。あれやこれやと経費はかかるし、なりよりも手間が思っていた以上に掛かるということ、暇が無ければ到底出来ません。しかし、興味のある方は是非チャレンジしてみて下さい。店では買えない「自分の作ったルアーで魚を釣る」という夢が手に入りますから。

  


ショアーからジグでマダイ




Splash WorldTOPに戻る


index に戻る