パラオでGT&ダイビング

栗本 有平

パラオ到着! ホールダイビング 巨大なイソギンチャク

最近の釣行不足から非常にストレスが溜まり、爆発!!ということで、昨年12月にパラオへ行ってきました。もちろんダイビング&フィッシングと、いつもと変わらぬハードな旅行となったのですが、今回は“本格的に釣りがしたい”と嫁さんを説得し、2日間を憧れのGTフィッシングに充てることに成功?しました。といってもにわかに思い立ち、現地で1日目の釣りが終わったときに“もう一日釣りをさせてくれないか?”と嫁さんに許可を貰ったのでした。
幸い1日はフリーで何の予定も入れていなかったので作戦成功!2日間を釣りに当てることになったのです。

まだ旅行客も少ない12月12日から18日とチョッと贅沢な旅にし、初日ダイビング、2日目GT、3日目ダイビング、4日目GT、5日目クラゲツアー?とパラオならではの5日間を殆んど洋上で過ごすことにしました。
初日のダイビングはPPRホテル前のビーチからの2本、久しぶりのダイビングということもあり、のんびり嫁さんと2人きり。チョッと迫力に欠けるパラオの海を満喫しました。ただ、水深がないので1本のタンクで1時間30分ほど潜ることが可能です。午前と午後の2回に分け体力の消耗を防いだつもりでしたが、久しぶりということも手伝い二人ヘロヘロに疲れきってしまいました。体力無いです。

ポッパーにヒットしたGT! ファイト中! ロウニンアジGET!


そして2日目、眠れぬ夜が明け、いざGTフィッシングです。ガイドのタミーがやってきたのは午前9時を回った時でした。つたない英語でグッモーニング!!と挨拶すると“おはようございます”と流暢な日本語。タミーの日本語は完璧です。ボートは30フィート位と思っていたより小さく2人が竿を振るのが精一杯。タミーとエディー、そして私たちの4人を乗せた小さなボートが、湖面のような静かな海を滑るように走ります。途中鳥山があり、タミーに“何のナブラですか?“とつたない日本語で尋ねると”イエローフィン“とのこと。非常に釣りたい・・・もちろんボートは走りすぎました。
ファーストポイントは何の変哲もないインリーフにあるサンゴ。本当にこのような湖みたいなところに海の狼“GT”が居るのか?と戸惑いながら第一投目です。嫁さんも頑張ってキャストを繰り返しますが何の反応もありません。これがGTフィッシング?それとも我々のキャスティングを試しているのでしょうか?すぐにポイントを移動しました。
何度かこのようなポイントを叩きますが反応が全くありません。やっぱりパラオも釣れなくなっているのでしょうか?それとも条件がそろわないと食ってこないのでしょうか?難しいものです。
そして、やっと潮通しのよさそうなアウトリーフとインリーフの切れ目?にたどり着いたとき、ここでやっと初めて釣れるかも?と感じました。どうやらここは潮が効いているようです。すぐにバイトがありフッキングに成功しました。殆んど着水ヒットでしたが、なにやらロッドにガツガツ感が伝わってきます。シャーク?と思いましたが向うの方でバラクーダが飛んでいます。残念、ファーストフィッシュは歯のある魚でした。しかしタミーはすごくかわいい笑顔を見せます。“今日のディナーに貰っていいか?”もちろんOKしました。
そして細かな移動を何度か繰り返し、またまた潮の効いていそうなポイントにやってきました。先ほどのところより水深があり、約40m位はあるのでしょうか。気合を入れてポッピングを繰り返します。
ドッボン!ドッボン!と低音の聞いたポッピングに数匹のGTが争いながらチェイスしてきます。サイズはソコソコのようですが、魚も私もかなり興奮しています。“それそれ!ほれほれ!クエクエ!!”そしてついにヒットしたのはカワイイGT、どうやら一番小さいのが食ってきたようです。8キロ位でしょうか。難なく揚げてパチリとやってすぐにリリースしました。そのあとすぐに嫁さんにもバイトがあったようですが惜しくも空振りで終わりました。
ここは非常に良い?ポイントです。ウメイロモドキなどの小魚が先ほどより逃げ惑い、何か大型肉食魚の気配がムンムン伝わってきます。ここで私がテストしてみたかったロッドでのチャレンジです。以前リサイクルショップで購入した7fのジギングロッドで、どこかのテストロッドとのこと。耐力の衰え始めてきた私には水深があるとついつい頑張ってポッピング繰り返してしまいます。ですがこのロッドだと短い分、もう少し楽に細かく鋭いポッピングが出来るはず!と前から試してみたかったのです。ドッポン・ドッポンとポッパーを思い切りポッピングさせると茶色い影、サメが猛然とチェイスしてきます。これはマズイと慌ててルアーを回収にかかります。
その間、嫁さんにもグルーパのバイトがあったのですが、これまた空振り。早く釣らせたいと皆、応援してくれるのですがなかなか針がかりしてくれません。フッキングのタイミングが悪いのでしょうか。残念!!

そして何度か私のルアーにシャークアタックがあった後、またまた小型GTの群れのスイッチが入ったようです。数匹のGTが私のポッパーにチェイス。そして“ドッポーン“とポッピングがさらに決まった瞬間、ヒットしてくれました。このロッド、短く非常に硬いためタメがゼンゼンききません。そして私の腰へモロに負担がかかります。あまりにもシンドイ・・15キロ位とあまり大きくはなかったのですが、このロッドのおかげでかなり疲れてしまいました。それでも1匹目よりサイズアップが図れたことにうれしさを感じ、午前の釣りを終了としました。   

昼食はペリリゥー島で沖縄料理?のお弁当。木陰に座りエネルギー補給を済ませました。それともう一つ。パラオの人が常にヤッている“木の実”非常に興味がありました。“あれを試してみたい”釣りをしている最中からそのことが気になって気になって・・・“1度試してみたい!!ギブ ミー!!”器用に“木の実”を口で割り、コショウ科の葉っぱで包み、サンゴを焼いた石灰をかけてもらい、一つ手渡してもらいました。噂によるとその“木の実”少しの覚醒作用があるようで、口の中へ放り込み、ゆっくり噛んでみました。みるみる口の中が赤くなり、器用に唾を吐くタミーを真似、私も“ピュッ”・・・うまくいかず失敗、足元に赤い液体がおちました。“んっ?”あまり美味くない。私にはイイものではありませんでした。
話がそれてしまいましたが、ここには良さそうな地磯があるようで、地元の人が釣りをしていました。ボートから見た地磯はフラットでペリリウコーナーの近くということもあり潮通しも非常に良い!!ロッカーの私にはよだれ物の磯に違いない!!ぜひ今度はここでやってみたいものです。
    

昼の弁当休憩をペリリゥー島でとり、午後の釣りを再開したのは午後1時半を過ぎたころでした。
午後1番のファーストポイントはペリリゥコーナーにあるドロップオフでした。ここはかなり潮が流れており、潮波も2メートルはあり気配濃厚です。どうやら今回の本命ポイントに間違いないようです。
何度かキャストを繰り返すと今までのものより遥かに大きいGTが激しくチェイス!そして次の瞬間ガフッ!っと食らいついてきました。“ヤッター!!”その引きも今までのそれとは遥かに違い、何度も何度もドラグを滑らせます。しかもその速い潮に乗り、その引きはまるでアメ車のように野太いトルクで、みるみるラインを引き出していきます。タミーも“40キロ コエテルネー”と・・・私はその引きに耐えるのが精一杯!そして数分たったでしょうか、腰も限界に近づいたときフッとテンションが無くなってしまい、惜しくも“フックオフ”という非常に残念な結果に終わってしまいました。なんでバレルネン!
気を取り直し、“ドッポン・ドッポン”激しく低音ポッピングを繰り返すと、すぐにバシャ!またしてもサイズの良いGTちゃんが喰らいついてくれました。今度のそれも腰が砕けそうになるまで激しく抵抗し、またまた腰が砕けそうになります。潮波も結構あり、クルーの一人がミヨシでファイトしていた私に近寄り、ジンバルベルトを支えてくれています。透明度が良いせいで、かなり深いところでも魚影がうっすら見え、今までの魚とは違うのが確認できました。大きい!しかし私はなんて体力の無いのだ・・・その姿を見た頃には“早くランディングしてくれー”と心の中で叫びまくっていたのですが、ついにガイドがハンドランディング。船中に取り込んでくれました。およそ25キロのGTは疲れ果て、しばらくのカメラ目線に応じてもらい海の中へとお帰りいただきました。

しばらく腰をクールダウンさせ、キャストを再開しますが後が続きません。何度かボートを立て直しますが、その潮波はどんどん高くなり、キャストもままならなくなってきたのでポイントを変わりました。
今度もペリリゥー南岸の浅場へ移動。所々にサンゴ礁が点在しています。
ここでのファーストヒットは惜しくもシャーク!!ですが先に釣ったGTのお陰で腰が立ちません。激痛が走る中やっとのことでランディングをしてもらい、リリースをしました。何度見てもその姿には迫力があります。サメのお目目は鋭くこちらを睨みつけ、“手足があれば襲ってやれるのに・・・”といったような雰囲気を漂わせます。怖いです。
そろそろタイムアップが近づいてきたので、帰路に着こうとクルーに言われましたが、なんせ嫁さんがいまだノーヒットでございます。
“小物でいいから釣らせてやってくれないか”とタミーにお願いし、インリーフにあるポイントに連れて行ってもらいました。
しかし釣れません。私のフック無しのポップクイーンにはチェイスしてくるのですが、嫁さんのポッパーにはチェイスどまり、皆の応援むなしくこの日の釣りを終了としました。
嫁さんは残念な結果に終わりましたが、私にはとても有意義な時間を過ごせ、2日後へ向けてのイメージがかなり膨らみました。
次の日は楽しみの一つであるボートダイビングを楽しみました。
1本目はジャーマンチャンネル。残念ながらマンタはお留守でしたが、ニョロニョロ系がかわいく、私もシャッターチャンスを伺いボトムにへばり付いて観察です。ですが、なかなか用心深いようで他のパーティーが付近を通るたびに潜ってしまいうまく写真は撮れませんでした。
しかし、ここではかわいいハナビラクマノミとイソギンチャクのお約束の写真を撮ることに成功!!ダイビングをしていて非常に癒されるクマノミの仲間。私にとって本当に愛おしい存在です。
続いては、ブルーホールというサンゴのリーフにポッカリ空いた垂直な穴からエントリーする非常に珍しいポイントです。パラオのダイビングでは非常にメジャーなポイントで、ここは外せない!!らしいです。
まずは穴から垂直にエントリー。ボトムから見上げた水面はなんとも幻想的な世界で、しばし写真撮影。しばらくして、次はお約束のドリフトダイビングでした。いつものことですが、自由の利かないダイビングで中性浮力を保ったまま水平方向へ流されながら、まるで見る景色は映画のようです。チョッと気になる生物がいてもじっくり観察をすることが出来ず、いつも歯がゆい思いをしますが一期一会を大切にします。そうしているうちにバラクーダの群れやホワイトチップシャーク、そして最後に、昨日出会ったGTちゃんに出会うことが出来ました。もちろん昨日釣り上げたGTではないのですが、大きさはそれを超えるようなサイズで悠然と何にも臆することなく私の目の前をゆったりと泳ぎ去っていきました。海の中でこれほど大きいGTを見るのは初めてで大興奮!
不思議なもので、ダイビングをしているときは釣りのことなど考えず、“可愛い”とか“かっこいい〜”とかすごくやさしい気持ちになってしまう私がいます。おハズかしい・・・

トレバリータックル パワーポッピング ロウニンアジ


さて、次の日はGTフィッシング2日目です。この日の釣りは午前6時から午後12時までと前回よりも早めの出発をお願いしました。この日は午後から島内散策をしようと考えたからです。
前日におにぎり弁当をホテルにお願いし、翌朝受け取りいざ出発!!のはずですが、桟橋に迎えに来てくれたタミーは少々浮かない顔をしています。
前日から私は“明日は朝のいいジアイを釣ることが出来る。腰の調子も戻ったし、デカイのワンサカ釣ってやろう”とかなり興奮気味でしたが、タミーの朝の挨拶は“誰がこの時間を決めた?今日は夕方が釣れる時間!!”
“ヘッ!?”こんなパラダイスでも潮周りによって釣果がきまるのか?“そんなこた ナイナイ”と変に気を取り直し、いざ出発。
今日は前回とは逆の西岸にあるアウトリーフから攻めるようだ。
“ん!?”潮が良く効いているハズですが、ぜんぜん反応がございません。何故?
“ここはGTハウス!!”タミーが言います。でも反応ナッシング。
とうとう午前十時になろうとしています。“ウオー。ヤバイ。ジカンガナイ。ボーズカモ”
メチャメチャ焦り始めました。
何箇所のGTハウスを攻めたでしょうか。その間、嫁さんにGTのチェイスが一回。私にシャークのチェイスが2回のみです。朝、タミーが言っていた意味が解りかけています。そしてその言葉が頭をクルクルと音を立てて回っています。
こうなってくると、この蒸し暑さがなんとも憎たらしく思えてきます。たらふくドリンクが入っているクーラーからウーロン茶を取り出し、少しでもTシャツを濡らすようにこぼしながら一気にウーロン茶を2本も飲み干しました。
“疲れたー・・・”大きな声で叫んでしまいましたが、さすがは わしの嫁さん!!黙々とさぞ重たいであろうGTタックルを振り回しています。
見習わなければ!!気を取り直し、汗を手で拭い、シイラ用のライトタックルを手に取り再開しました。
少しするとタミーが“GT!!!”指差す方を見ると嫁さんがどうやら喰わせたようです。そして、この日初めてのファイトです。結構良型のようで嫁さんも何がなんだかわからない様子。“もっとサオためてー”とか“竿を立てて!!”とか外野がうるさくアシストしますが、運悪くフックオフ。回収されたルアーにはしっかりと歯型だけが残っていました。ざんねーん!!!
少し魚気が出てきたようで、ボートの下を小魚の群れが行ったり来たり。チャンス?と思いやっぱりライトタックルを手にキャストを再開します。
再開直後の一投目!80gのペンシルベイトに何かが猛然と襲い掛かってきました。ですがあまり大きくも無い魚体が確認できていたので、余裕のファイトになるはずでしたが、“んっ?”その瞬間ドラグがスベリまくっています。ラインもPE2.5号なのであまり無理も出来ません。ポイントは水深が浅くボートからも根が確認できるくらいです。ゆっくりやれば簡単に獲れるのでしょうがそうも言ってられません。スプールを手で押さえテンションをかけながら竿の反発をフルに利かせます。“魚は何だろう?”と思っているとき、急にその引きに力が無くなってきました。そしてようやくあがってきたのはナンヨウカイワリ!!8キロ位はありましたが、どちらかというと青物のような引きでした。
タミーが言います。“今日のディナーに貰っていい?”もちろんプレゼントしました。
そのあとも点在するGTポイントを10箇所位まわったでしょうか。とうとうこの日はGTを見ることが出来ませんでした。
タミーが最初に言った、“今日は夕方が釣れる時間!”という言葉。後ろ髪を惹かれる思いでこの日の釣りを終了しました。

よくジアイと言われますが、確かにシーバスでもグレでもサビキでも管理釣堀のニジマスさんでも確かに食いのたつ時間というものが存在します。
いわゆる“居ても食わない”というやつで釣り人にとって一番のくせもので、一番頭を使う瞬間かもしれません。
朝夕のマヅメ時、水・潮の流れ、プランクトンやベイトフィッシュの有無、潮位、風、月明かりに外灯などの人口的な明かりなど、あと一番大きな要因は“お魚さんの気分”などなど、ホントさまざまな要因があるようですが、実際釣りをしていて食わない時間というのも存在します。海などの場合魚が居ない(回遊していない)ということも考えられますが、池など封鎖的環境の場合確実にソコに魚はいるわけで、魚の口元へきちんとプレゼンテーションしているのに口を使ってくれない空白の時間。
いつも帰りの道中や家に帰って考えることなのですが、“なんで釣れたのだろう”また“どうして釣れないのだろう”などその日の釣りを思い返します。ボーズの時は悔しくて、釣れたときはうれしくて、思い描いていたように釣れたときなんかは当分ニタニタがやみません。
いつもニタニタしていたいと思うのですが、そうそういつも良いわけではありません。
はたして今回の敗因は何だったのでしょうか?勉強になります。
最後にタミーとクルーと次回の約束?をし、楽しかったGTフィッシングを終了しました。

次の日は朝からパラオの名物“ジェリーフィッシュレイク”なるところでクラゲツアー?なるものを満喫してきました。スコールのなか大量のクラゲちゃんとぷかぷかしましたが、淀川の毛馬にいるクラゲを思い出したのは言うまでも在りません。プカプカしながら“ひょっとしたら淀川のクラゲちゃんも大阪名物になれるかな?”と不謹慎なことを考えていたら、クラゲからクラゲの赤ちゃんが飛び出してきました。目の錯覚かと思い、大きなクラゲに触れてみたらポコンと小さいのが出てきます。知りませんでした。卵胎生なでしょうか?始めはクラゲツアーをナメていた私でしたが、結構面白かったです。

そしてとうとう帰りの時刻が迫ってきました。もっともっとパラオに居たい!!この日の深夜便で楽園パラオを後にしました。
あー釣れてヨカッタ。

ワイフのパワーキャスト! バラクーダ 美しいパラオの海と空!


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